「派遣村」問題まとめ2〜派遣の半分以上は正規雇用である


「派遣村」問題まとめ1〜キリギリスは派遣切りの夢を見ないの続き


派遣つーと非正規雇用の代名詞のように使われてるけど、実際のところ、派遣労働者の半分以上は正規雇用だ。


派遣労働者は雇用形態により2種類に分けられる。
登録型派遣と常用型派遣に。


登録型派遣は派遣会社に登録をしておいて、仕事があるときだけ派遣会社と労働契約を結ぶ。
もちろん契約期間は仕事がある期間のみ。最短では1日。いわゆる日雇い派遣がそれだ。


常用型派遣は、派遣会社の正社員として正規雇用されている。派遣先にどの位の期間派遣されているかは、派遣先と派遣会社の契約次第。しかし派遣社員と派遣会社の労働契約は切れることがない。
じゃあ派遣先のない常用型派遣はなにをしているか。
派遣会社の事務所の掃除をしたり、書類整理をしたり、電話番をしたりしてるんだってさ。
その間、社長が派遣先を探して営業に歩いている、と。小さいところはそんな感じらしい。


派遣会社といっても大きく2通りに分けられる。
一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業
一般労働者派遣事業は許可制で、誰でもができるわけじゃない。


特定労働者派遣事業は届出制、誰でも明日からでも開業できる。ただし、登録型派遣を使うことは出来ない。
分かりやすくいうと、取引先とか知り合いの会社に手が足りないから手伝って、と言われて、自分の会社の社員を応援を出すような感じ。
それが専業化して、キャバクラ嬢とスカウトや黒服の関係(参考資料・新堂冬樹「黒い太陽」w) みたいな感じになってる。そういえば派遣もキャバクラ嬢もキャストって呼ばれるよね。


まあ、そんな感じの牧歌的個人経営の人材派遣会社はまだいいんだ。
問題は、ある程度の規模をもつ企業グループの人材派遣会社。
ここが脱税代わりに人材派遣を使ってるんだ。


給料なら人件費だけど、人材派遣会社に払うのは費用。費用には消費税がかかる。
顧客企業が払った消費税は人材派遣会社が受け取る。派遣会社が預かった消費税を税務署に払うんだけど、資本金1000万円以下なら創業して2年は納税義務が免除になる。


つーことは、顧客企業は派遣会社に払った消費税分の利益を減らせるし、そこにかかる法人税を減らせるんだよ。顧客企業と人材派遣会社が同じグループだとしたら、顧客企業の減った売上の分は派遣会社の売上が伸びるわけだし。
露骨にやると脱税で捕まるけどさ。

ダミー会社設立し消費税脱税 人材派遣3社を告発 大阪国税http://www.sankei-kansai.com/2008/12/05/20081205-004254.html

でも、無理に潰さなくても、2年分の人件費の5%(消費税)の30%(法人税)が浮くとなったら、それだけで魅力的だよなー。
まして今なら、派遣切りで苦しくなって潰れましたー、って大喜びで潰せるだろ、グループ内派遣会社を。
ほとぼり冷めたらまた作ればいいんだしな。


そんな感じで派遣事業のある程度は成り立ってるんだ。


以下、参考資料

(1)一般労働者派遣事業

…常用雇用労働者741,644人(対前年度比14.9%増)

常用雇用以外の労働者(常用換算)727,512人(同11.6%増)

登録者2,795,999人( 同 19.3%増)


(2)特定労働者派遣事業
…常用雇用労働者274,710人(同 24.5%増)

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1226-3.html

登録者2,795,999人のうち、重複登録者までは把握してないからな。
しかも時間に換算すると登録4人分で1人分の労働をしている勘定だ。