日本全体が横浜化している件について


わがドラゴンズに関してはどうしようもないと思ってたものの、野本・藤井といううれしい誤算があって首位をキープしている。
一方で、予想通りつーか、誰もが期待したその通りの6連敗スタートしたのが横浜ベイスターズ


評論家全15人全員一致の最下位予想は壮観ですらあった。

もっとも優勝予想も3人を除いて巨人なんだけどさ。その3人も中日一筋で引退した人の、中日スポーツでの、中日優勝予想だからなー。


4番の村田修一WBCで負傷して、という要素もあるけど、それ以上にヤバイと思うのは、今のベイスターズには戦う目的ってものがあまりないんじゃないかという点。戦わなくても試合をやってればそれなりに収入もあるしね。
テレビで見る限り、23年前の大洋ホエールズを髣髴とさせる雰囲気を感じるのよ。


23年前、1986年の6月末の大洋ホエールズもひどかったよ。なぜそれが印象に残ってるかといえば、その時の中日ドラゴンズもひどかったからね。
ひどい者同士、6月28・29日にナゴヤ球場で2連戦が組まれてた。中日は引き分けを挟んで6連敗中、大洋は引き分けを挟んで8連敗中。それで2連戦だからどっちかの連敗が止まるだろ、jk。
これが止まらないんだな。そこが無目的集団の恐ろしさよ。
0-0の引き分けと、雨天中止。
この後に引き分け・負け、と来て、結局中日の連敗は7で止まるんだけどさ。大洋は13連敗までしたんだよな。


この年は広島と巨人が猛烈な優勝争いをしたんだけど、いよいよ終盤の大詰めで中日は巨人との3連戦があって、ものの見事に3連敗するわけ。ところが恐るべきはその後で、直後に追い詰められた広島との4連戦、ものの見事に4連敗、それも4試合で1点しか取れないw。
そりゃそうだ、近藤貞雄監督は例の7連敗の後に休養、次期監督は星野仙一と事実上決まっていて、主力の矢沢や田尾とは折り合いが悪い、来シーズンを見据えて休めるうちに休んでおこうというぬるま湯体質。
矢沢と田尾が他球団でチャンスをもらいながら指導者として大成してないのは、その辺に理由があるような気がする。


もっとも1986年の中日は最終的には5位になる。つーことはこれよりもひどい球団があったということで。それがオーナー自身が巨人ファンだったヤクルト。この頃のヤクルトは完全なぬるま湯球団だったっけ。
今の横浜ベイスターズを見てると、今となっては珍しいぬるま湯体質の懐かしい匂いを感じる。

1987年から中日は星野仙一を監督に迎え、良くも悪しくも圧迫された恐怖支配に基づく殺伐としたチームに変わっていく。求められた数字だけを合理的に出していく星野仙一のやり方が新自由主義経済を先取りしていたような感じがして、俺にはどうも受け入れにくい部分が多々あった。
確かに星野時代以降、中日は強豪球団として名乗りを揚げていくわけだけど、結果としてどういうチームになったかというと、選手が萎縮して個人の魅力というものに乏しくなった。
その中でショックだったのは、1999年にリーグ優勝したときのビールかけ。ハメを外してもいい場面で、星野監督が率先してハメを外さなきゃ誰もハメを外せなかった雰囲気。会場ホテルのプールに一番最初に飛び込んだのが星野仙一だもんなー。
優勝した日に、こんなチームを求めてたんじゃない、って心のどこかで思っていた。


で、今年の横浜ベイスターズ。俺が今いる静岡は横浜にも近く、毎年草薙球場で試合が組まれていて、その昔は大洋がキャンプをやってたり、山下大輔元監督が静岡出身だったりして横浜ファンが多い土地柄だし、友達にも横浜ファンがいて迂闊なことはいえないんだけど、あれは今の日本みたいでダメでしょ。でも今の日本みたいでなんかいいよね。


やっぱさー、今の日本って今の横浜ベイスターズと一緒で、戦う目的や生きる意味ってものが希薄なんじゃねのかなー。まったくもっての無目的集団。どこに向かってるのか、わけ分からん。
なんとか頑張ってはみるものの、底力を出して踏ん張るほどの理由もなく、死に物狂いで打って出る必然性もなく、結局なーんにも報われずに、現役引退の日を待つのみ。とはいえ引退したってロクすっぽ食えるわけでもないときたもんだ。


新自由主義経済って明らかに間違いだったけど、でもだからってバラ撒き行政のぬるま湯国家に戻ればいいってわけじゃないだろ、って最近打ち出される経済政策を見ていて思う。
麻生政権の経済政策はバラ撒きじゃない、って反論もあるし、それも正論だ。
発展途上国に食料を援助するのではなく、食料を作り出す手段を提供すべきだという理論に似ていて、確かに国民に手段を提供しようとしている点で以前のバラ撒き政策とは異なる部分が多い。
でもな、手段があっても生きる目的がなければ、なんにもならないのよ。


1986年の中日や大洋だってすごい選手はいたんだぜ?
中日のピッチャーだと杉本・タカマサ・小松・郭源治のあたりでローテーションを組んでリリーフは牛島、大洋は遠藤がいて欠端がいて、あと誰だっけ?リリーフはヒゲの斎藤な。
打つ方だと中日は平野がいて川又がいて上川がいて中尾がいて、あとは矢沢とか大島とかウーヤンとかはイマイチだったな。攻撃は大洋が充実していた。なにせマリオことポンセがいたからなー。あとオバQ田代富雄が骨折したのはこの年だった。高木豊がいて屋敷がいて若菜が絶好調で、山下大ちゃん、とまあ黄金期に近い状態。


それぞれに実力はあるし、それなりの個人成績も残してるし。それを生かしきれなかったのが敗因で、既存の選手の育成が必要だったわけじゃない。
一番大事なのは具体的な政策じゃないんだよ。
リーダーが示すべきは、どこへどうやって行こうとしているかというロードマップなんじゃねーの?
経済対策をしました、だからって万が一そこで景気がよくなったとしても、そのあとどうなるんだ?
結局のところ、「働いたら負け」の社会は変わらないんじゃねーの?どうせ自民党はそこを目指してるんだし。そんなところで命がけや底力が生まれるわけがねーだろっつーの。


「働いたら負け」ってニートの代名詞のようにいわれてるけど、実際のところ資本主義における資本家がまさにその立場だし、それに貢献するのが自民党なわけだし、それじゃ働かざるをえない「負け」組にロードマップなんか示しようがない。隠すしかない。


かくして日本は横浜ベイスターズ化してるんだよ。