草なぎ剛君の処分を予想してみる

草なぎ君の今置かれている立場ってのは結構微妙で、処分保留で釈放されてるわけ。
釈放されたから「草なぎ容疑者」から「草なぎさん」に呼称を変えたんだろうし、中にはわざわざご丁寧に

 公然わいせつ容疑で逮捕されたSMAPメンバーの呼称を「容疑者」から「さん」に切り替えます。釈放され、起訴の公算が小さいことを考慮したためです。ただし、記事の初出のみ、「容疑者」としました。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090424/crm0904241335023-n1.htm

とまで書いてるところもあるんだけど、実際のところは微妙なんじゃないかな。
もっとも「容疑者」呼称も、マスコミの自主的な判断でやってることなんだから別にいいんだけどさ。


実際のところ、公然わいせつの起訴率って8割以上あるわけでね。これは犯罪白書を見てもらうと分かることだけど。
http://www.moj.go.jp/HOUSO/2007/hk1_2.pdf


このうち「公判請求」ってのは実際の裁判をやることで、これが15%ぐらいあるんだけど、実際のところこれは併合罪といって、他の犯罪もやりーの公然わいせつもやりーの、捕まってまとめて裁かれるパターンが多い。
あるいは牽連犯といって、関係のある別の犯罪を同時に犯すというパターンもある。
最近俺が傍聴した「チンコ丸出しで女の子を押し倒して、ひざの裏を触った」という強制わいせつ事件も公然わいせつ罪とセットだった。チンコ丸出しが公然わいせつで、ひざの裏を触ったのが強制わいせつ。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090305/p2
ほかに後述の略式命令を拒否してダメモトで正式裁判に臨む場合もある。訴訟マニアとか、略式命令でも前科だから会社クビになっちゃう奴とか。


「略式命令請求」ってのが60%以上あって、これは略式裁判とも言われて「簡易裁判所の裁判」と混同されちゃうんだけど、いわゆる裁判というものは行わずに罰金の支払命令だけ受けておとなしく払うパターン。
交通違反の赤キップの扱いと一緒。
ただし手続きは略されてるけど、実際の裁判をやったのと同じ扱いで前科もつく。


一方で不起訴ってのがある。これは一切の裁判の手続きを行わない。
犯罪白書では「起訴猶予」「その他」に分かれてるけど、起訴猶予とは起訴できるけど勘弁してやる、ってパターン。
「その他」にはいくつか種類があって、容疑者が死んだりして訴訟条件を欠く場合、事実関係の誤認などで犯罪の構成要件を満たさない場合、人違いで誤認逮捕などの場合(嫌疑なし)、裁判を行うための証拠が集まらない場合(嫌疑不十分)、とあるんだけど、いずれも捜査当局の手落ちを認めてしまうわけで、これらに該当する場合でも起訴猶予になる場合が多い。


で、不起訴になるとどうなるか、つーと、どうもならない。なんにもなし。
罰せられるわけでも、前科になるわけでもない。文字通り、無罪放免になる。ただし前歴といって、警察には記録が残る。
つまり、明らかに「クロ」の場合でも検察官が「勘弁してやるか」と思ったら、それでおしまい。
これを起訴便宜主義つーんだけど、その弊害については前にもちょっと書いたことがあるから今回は置いておく。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090306/p1


で、草なぎ君はどうなるか?
専門家だと無責任なことは言わないんだけど、俺は門前の小僧だから大胆に予想するよ。
普通の人の場合なら略式命令が行くだろうね。そしてパニくったまま、わけも分からず罰金を払うことだろうと思う。
でも草なぎ君の場合は今の段階から海千山千の弁護士がついてるし、検察もうかつなことは出来ない。


正式な裁判で争うことになったら、簡単には有罪に出来ない環境がいくつかそろっている。
まず、記憶が飛ぶほど泥酔していたこと。これは心神喪失状態が認められれば犯罪構成要件を欠くことになる。
次に、性的な理由で全裸になったわけではないこと。記者会見で、香取慎吾の前でパンツ一丁になった、と言ったのはこの辺の計算もあるはず。
そして、性的な理由ではなく露出した場合、公然わいせつ罪としては無罪になった判例があること。ぶっちゃけ、立ちションベンが無罪になってるのよ。


無罪になる可能性が結構ある以上、正式な裁判に持ち込むことは不可能に近いと思う。なにせ日本の裁判の有罪率は100%に近く、それが検察の誇りでもあるんだから。
となると、略式命令を出しても「正式な裁判にしてくれ」と拒否されることが明白で、略式命令も出しにくい。
かくして落としどころとして、「クロだけど勘弁してやる」の起訴猶予になるんじゃないかなー?
社会的制裁を受けていることも起訴猶予に出来る大きな理由になる。だから草なぎ君を叩きたい奴はどんどん叩けばいいんだよ。その分、草なぎ君にとっては有利になるんだから。


というのが大方の見方なんだろう。そして俺もそうだと思う。
じゃ、いつ起訴猶予の不起訴という無罪放免になるか。身柄が拘束されている場合は、拘留期限である20日以内に起訴不起訴の処分が決まるんだけど、草なぎ君は処分保留で釈放されている。
書類送検と似たような状況だから1ヶ月くらいで決まるんじゃないかなー?と思う。とはいえ、理論上は時効まで処分を行わないことも可能だし、いったん不起訴処分にしても時効までは起訴することが可能なんだけどさ。


普通の公然わいせつの相場は懲役3-4ヶ月で執行猶予3-4年というところ。
謹慎期間もこれに準じるものになると思う。復帰までは3-4ヶ月、時効の来る3年まではこの事件をネタに出来ない、って感じじゃないだろうか。


ぷっすま」でのグダグダのボケに「大人として恥ずかしい行動だろ!」って感じのツッコミを見れる日が、一日でも早く来ますように。