腹ばいスケボー事故の過失割合に関する所見

腹ばいスケボー事故の過失割合に関する所見

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いろいろと思うところはあるのですが、結論から言って明らかに自動車側の過失割合が大きいです。

類似の判例では

実は類似事故の判例があります。

スケートボードで滑走、車道に飛び出した事故

H15-6-26、東京地裁判決、平成13年(ワ)7746号、40:60

スケボー40:車60の判例です。

上記事故は、スケボーの路外からの流入であり、本件は交差点(しかも左方であり、原則的にはスケボーが優先方向)であることから、スケボーにさらに有利な判断がされるものと思われます。

 

別冊判例タイムズNo.38では

裁判官が判例をケース別に分類してまとめた別冊判例タイムズNo.38という本があって、もともと裁判官用に作られたものですが、保険会社での示談でもこれに基づいて過失相殺率が算出されます。

 

 

そもそもスケボーがなんなのか、議論の余地があります。

道路交通法76条4項3号ほかでは遊具として「交通のひんぱんな道路」における使用が禁止されています。その解釈であるならばスケボーに乗った子供は歩行者ということになります。

一方で道路交通法第2条第1項第11号では軽車両を「人若しくは動物の力により」「レールによらないで運転する車」と定義しており、この解釈であればスケボーは軽車両ということになります。

上記類似事故の判例の場合、軽車両と四輪車で軽車両の路外からの流入【300】が該当する事案です。基本過失割合が40:60でスケボー側に児童であることで-10、著しい過失があることで+10の修正が行われ40:60という、自転車での判タ通りの判例です。

このことから、スケボーは軽車両であるとみなしてよいでしょう。

そこで本件事故を見てみると、同幅員交差点における左方からの軽車両と直進の自動車の事故ですから【240】を準用できます。

基本過失割合はスケボー20:車80で、スケボー側に児童であることで-10、スケボーが違法であること、腹ばいであることでそれぞれ著しい過失+10ずつを修正してスケボー30:車70というのが示談の数字ということになるでしょう。

また刑事事件としても決して無罪となることはないでしょう。

 

なぜ車に罪があるのか

車の過失について考える前に、類似事件の判決文にもある通り、過失の多寡と負うべき責任の多寡は違うことを意識する必要があります。

双方の落ち度=帰責性の程度を比較考量するだけでなく、被害者保護および危険責任の観点を考慮し、被害者側に生じた損害の衡平な分担を図るという見地から、決定すべきものである。 

 これは自賠責保険の考え方にも通じますが、交通司法は交通事故は誰にでも起こりうる悲劇であり、加害者も被害者であり、被害者も加害者であり、「痛みを分かち合う」ことを前提に設計されているからです。

 

なぜ車に落ち度があるのか

別エントリにまとめました。

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