昔と変わった古本の価値観

というタイトルの投稿が静岡新聞の読者欄に掲載されていた。投稿主は川根町の52歳の作家。
要約すると10年ぶりにS市のA書店(川根町の52歳の作家が売るような本をまともに買えるのは静岡市のあべの古書店だけだろう)で蔵書の整理をしたら値段がつかない本が多かった、その前に古本屋を見て回ったら新刊本を安く売る店に変貌していた、10年昔の古本の価値は希少価値と内容で決まったが、今は新しさだけで決まるようで先人たちの残した文化が破壊されている、という内容。
ありがちなリサイクル店批判だな。この人に反論するなら古本の価値観が変わったんじゃなくて「内容」の価値観が変わったんじゃないかな?って部分がまず挙げられる。
つまり時代の流れが早くなったために普遍の真理などというものがなくなって新しいものこそが価値になったのだ、ということ。
もう1点は、あんたの気のせいだよ。「この1年、特にその傾向が強くなった」というが、この2〜3年で静岡の古本屋事情なんてほとんど変わってないよ。
ブックオフが2店舗移転して、水落のコミック堂(コミックリサイクルと高いエロ雑誌)と中田のサンケイ書店(意味のない文庫本が多かった)が潰れたくらいで。あとは馬渕のエーツーから汚い本がなくなった程度。
ああ、S市のA書店って島田市の朝日書店もそうか。でもその前に見て回るほどの古本屋はないしな。
そしてもう一つは古本屋が新刊の安売屋なんて状態は終戦直後もそうだった、ってこと。
出版される本の数も少なく、読者も貧しく、完全なリサイクルが存在していた時期があった。聞いた話だが、インフレが強烈で再版されると数倍の値段がつくことも珍しくなく、旧価格の本を新刊屋でせどりするだけでいい商売になったそうな。
古書店が新刊の安売りをして破壊される文化があるんだったら、そのころにとっくに滅茶苦茶になっているだろうよ。