上級弱者について

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から角掛仁のちょっと情けない話を書いて続けようかとも思ったのですが、この話の続きで入れておくと分かりやすい話なので、スピンオフとして「上級弱者」は存在してきた、という話をしておこうと思います。

 

もともと古代ローマでは裕福な層が奇形の障碍者や知的障碍者をマスコットとして飼っていた、という歴史があります。

これが後に宮廷道化師という形で受け継がれていくのですが、その説明としてはwikipediaが簡潔にまとめてあるので、その引用が一番いいでしょう。

 

宮廷道化師の仕事は、その名の通りの主人または周囲の人物達を楽しませる役割を担っていた。また、宮廷道化師達は小人症などの肉体的障害を持っているものが多く、笑い物としての対象にされていた。しかし、君主に向かって無礼なことでも自由にものを言うことが許される唯一の存在でもあった。曲芸よりは冗談やジョークを言う芸風を主とする道化師である。

また、その職業的な役割(君主の機嫌取り、君主の感情を操れること)から、国家間の紛争における仲介(連絡)者や、行政と民の中立な立場で世間の風評を演技(表現、意見)する等、オンブズマンとしての役割も果たしていたという説がある

道化師 - Wikipedia

 

結構ソフトに書かれてますが、実際にはトランプで描かれるところのジョーカーと言われる存在がそれです。決して日本で言うお笑いタレントのような存在ではありません。

 

ジョーカー(字幕版)

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コメディアンとして以上の役割を果たす存在だったのですが、それが許されたのは「人間としての扱いを受けていなかった」というのが前提です。犬や猫が噛みついたりションベン垂れ流したりするのが許されたりするのと同じ感覚でしょう。

服を着せられてチヤホヤされる犬がいる一方で、保健所で殺されていく犬がいる。

それと同じように王侯貴族にちやほやされる障碍者がいる一方で、野良障碍者もそれ以上にたくさんいたはずです。

その前者を上級弱者といえば、そう言えるでしょう。

 

これは中世ヨーロッパの話だけではなくて、日本でも角掛仁という小人プロレスラーがいて、このブログでも特に前回、念入りに書いた通り、サイテーの男ではあるのですが、みんな角掛が好きだったんですよ(まさか!)

 

だって、みんな角掛が朝まで生テレビで言ったとされるこの言葉が好きなんですよね?

「俺たちは誇りをもって笑わせてるんだ。それなのに人権団体が小人プロレスを見世物だとクレームをつけて潰してしまったんだ!」

 

弱い者とみりゃやたら「なんだ、お前はよう!」とか罵倒してた角掛が、だよ?

togetter.com

カレーがまずいと言われたくらい、なんだってんだよ。

角掛なんか、ボランティアの会場片付けで、イスを運んで歩いてるだけで罵倒してきたからなあ。

でも許されるんだろ、角掛なら。

なんで?

都合がいいからだろ。違うの?

え?もしかして愛されてるからとか?(やめろ)

 

話は大幅に脱線しましたが、宮廷道化師が存在出来た土壌を共有できない世代が増えてきたんだろうな、と感じています。

それはおそらく、障碍者の人権が整備されてきた、というのが最大の理由だと思います。つまり人間として認められないがために許された存在が、人間として認められたためにその存在が許されなくなってしまった、ということで、今はその過渡期にあるのではないか、と考えています。

 ただ、本当に障碍者に人権が認められた社会なのか、というとそれは建前だけですけどね。