君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956

清水映画祭、MOVIX清水9番スクリーンで20:30の回。客入りは8人。

ハンガリー動乱に散った女闘士と、水球ソ連を破った恋人の話。



市街地戦の場面はミニシアターじゃもったいない。シネギャラリーだったら別の印象だったかも。ましてDVDじゃなにも伝わらないだろう。

戦車が自家用車をメリメリ潰していくシーンは圧巻。戦車の中から視点での無差別攻撃とか、手足が千切れていくあたりの迫力は説得力十分。



一方で水球の試合が物足りなかったのは、実況アナウンサーがいるのが当たり前の文化に育ってしまったからか?やり過ぎの演出の割りに盛り上がらないままにラストシーンになだれこんでしまって、締まらないエンディングになってしまった。



つーかヴィキが捕まるあたりから、仕事が息切れしたような気がする。無防備に銃を持って道を歩いていて捕まりました、って、あのなー。画竜点睛を欠く 、って感じ。そこがリアルなのかもしれないけど。

一時の勝利の直前、戦車が花で飾られた描写があったけど、天安門事件のときも直前まで学生と兵士は戦車に触りながら談笑してたんだってね。そんな話を思い出した。



ところで共産主義時代のハンガリーといえば自殺率が世界一高い国として有名だった。これがハンガリー人は神経質で感情的だとの偏見にもつながっているんだろうけど、統計のマジックでどうにでも出来るものをあえて公表してきたところに、東欧最初の民主化、そしてピクニック事件を経てベルリンの壁崩壊へとつながる一連の歴史の根底に流れるものが見えるように思う。

その歴史の根底に流れているものは血なんだろうな。