西の魔女が死んだ

静岡ミラノ1で19:30の回。客入りは15人ほど。

ストーリーは特にないんだけどね。強いて言えば登校拒否の女の子が田舎のおばあちゃんの家で転地療養して、飼ってるニワトリが殺されて、女の子は両親と転校して、一人暮らしになったおばあちゃんがしばらくして死ぬ。

並みの想像力の持ち主なら原作より映画のほうがいいと思う。
画にして初めて気がついたことがいろいろあったもの。
あ、そうだ、テレビのない家だったんだ、とか、
おばあちゃんの家に続く細い道を登っていく自動車の違和感とか。

自動車が通れるくらいに道が広がっても、「オールドファッション」のおばあちゃんは気にしていなかったりとか。でも自動車乗りは道の広さには敏感なんだよね。この両者、自動車があたかも侵略者のように乗り込んでくるので、下手すると厳しい対立関係にあるように見えてしまいかねない。
そういった意味で、原作にないカブに乗った郵便配達は必要な役回りだったんだと思う。
つまりオールドファッションの徒歩と新時代の自動車の間にカブが入ることによって新旧が対立するものではなく、延長にあるものという意味を持つようになってる。

そういう深読みは別にしても、居心地のいい映画だということは確実に言える。ストーリーが特にないから無理に話を進めるということもないし、間の取り方が実に贅沢。細に入ったジャム作りをはじめとするオールドライフのtipsがちりばめられていて、興味があれば興味深い。
ラベンダー畑の上に干したシーツにくるまって寝る、映画館の席で見てるだけで幸せになれる。でも、興味がなければ「寝る時にタマネギってワロスwww」で終わっちゃうだろう。