シルミド 実尾島事件の真実

シルミド 実尾島事件の真実」ISBN:4796640738 を一気に読んだ。
1968年の青瓦台襲撃未遂事件への報復として、韓国がならず者や流れ者を集めた金日成暗殺のための特殊部隊を組織、フルメタルジャケットの訓練風景が甘ちゃんに思えるほどの拷問にも似た訓練の挙句に、南北関係の変化により不要とされ、鬱屈した感情がソウル襲撃という形で暴発、最後はその多くが自爆するという史実のルポ。
ストーカーと一緒で、なんらかの事情のために真っ直ぐに貫き通せずに行き場を失った愛や使命感が生んだ悲劇。暴力に正当性を見出すことは不可能ではないが、常に計算された通りに働くわけではないことを失念してはならない。
20年も前から北朝鮮の事情はずいぶんと興味を持って見てきたが、特に諜報活動においてはむしろ韓国の事情の方に謎が多かったりする。拉致問題が一筋縄で行かないのは、被害者といわれる人の中に韓国による北派工作員やら北朝鮮の対南工作員やら二重スパイやらが混じっている懸念があってワケ分からんからだろう。
6月に映画が日本でも公開されるようなので観てみたいが、朝鮮日報のHPhttp://japanese.chosun.com/silmido/を見るとどうも事実を曲げてお涙頂戴的な演出になっているらしいので気をつける必要がありそうだ。