負け犬の遠吠え

今さらながら「負け犬の遠吠え 酒井順子 (著)ISBN: 4062121182」を読む。
ワイドショーで語られる、ワイドショーの対象である「勝ち犬」との比較としての負け犬論議なんてのはこの本の最初の40ページでしか成立しないだろ。
あとはハッキリ言って勝ち犬との比較が無意味な話だもんな。
自分のことだから結構キツイことを書いているんだけど、この人は文章構成力があるようで組み立てが上手いなぁ。ドツボに落ち込む直前に思わず吹き出すようなエピソードや比喩が組みこまれていて、そこが救いになっている。
まったく救いのないオスの負け犬の章と比較すれば一目瞭然だ。

内容の方はといえば、あるカテゴリの負け犬には当てはまる話ではあっても、そうでなければまったくのピント外れの話だと思う。一般論は書かれていない。
私事を書いたエッセイと大して変わらん。その書かれた私事が私の根元に関わる問題であり、そこを率直に描いている点での迫力は感じた。