クレーマーに引っかかった1

最初に電話がかかってきた時点で俺が取っておけばこういった事態にはならなかったかもしれない。こっちも忙しかったので電話応対の悪さでは定評のあるN君が出た、これがまずかった一因だと思う。(無駄に)愛想がいい(だけ)の俺や、まともな社会人の経験のあるSさんが出ていればどうなっただろう?
俺のところに電話が回ってきた時点で向こうさんは激怒モード。手がつけられない状態。
同じ本を2冊注文したのに1冊しか入っていない、代引きで2冊分金を払った、どういうことだ。ただ送るんじゃだめだ、今すぐ持って来い。
要約するとそういうことだが、これをタメ口の罵倒口調で息を入れる合間もなくスラスラとやられたらたまらない。
事実関係を言えば、同じような本を3タイトル2冊ずつの注文で、そのうち2タイトルが品切れで、1タイトル2冊しかなかった上に、片方が焼けていて申し訳ないな、と思いつつ梱包した記憶がある。間違いなく2冊送った。
淀みない話の持っていき方、以前にこういうことがあった時は詫び状を書かせた、作業をしている音が聞こえるがちゃんと聞いているのか(うざいから梱包作業をしながら電話していた。隣の人が仕事をしているんです、とスットボケた)、こういった部分から慣れたクレーマーだと判断した…が、俺が温厚なのは立場があって我慢しているだけで、本当はそうじゃない。自営でやっている方の客だったら、来いっていわれてるんだから喜んで参上してツラを眺めてやりたいところだ。しかし今回は雇われで組織の一員として動いている方の客。俺は1人で生きてきたから組織というものがよく分からずに、組織では許されない暴走をずいぶんしてきて迷惑をかけてきた経緯がある。
今からそっちの事務所に行こうか?社長がいるんだろ、出せ。
このあたりの会話の前後関係は記憶にない。完全にブチ切れてた。あー、俺ブチ切れてるな、と幽体離脱しながら思った記憶がある。
調子に乗るな、アニオタ。これが本音。
ふざけんなてめー、だったらどうしろっつーんだよ。
そんな言葉を発したのは幽体離脱から心が体に戻る直前。