お父さんのバックドロップ

シネギャラリー左側で15:30の回。客入り10人。
そもそもこの映画を観たいと思ったキッカケは予告編で一瞬映った教室の黒板。
「日直・冬木/川田」
これだけでこの映画がどんな思いで作られているか、プロレスファンなら伝わろうもの。
舞台は1980年、プロレスがプロレスの輝きを保っていた末期の三流団体、といえばモデルが国際プロレスであろうことは自明。主人公が上田馬之助であることは火を見るより明らか。
つっても国際プロレスはよく知らんのだが。ただ国際プロレスの最終興行が知床半島の海の見える野外で、まばらな客の元で行なわれたことは知っている。雑誌の写真で見たその光景がこの映画で描かれていた興行の全てとよく似ていた。
この映画の世界にすんなり入って行けたのはプロレスファンだからじゃない。むしろプロレスファンだからこそ格闘技モノ映画には引くことが多い。
同世代だから、って部分が大きいだろう。馬之助の息子と俺と、同い年だよ。
ところがところどころで当時なかったビデオが重要な役割を果たしていたところで興ざめさせられた。それ以外はパーフェクトだった。細かいところの作りこみが異常にこだわりすぎ。月刊プロレスを読む場面、本物の月刊プロレスを読んでいやがる。職業上そういうところが気になるんだけど、20年も年季が入って焼けまくりの雑誌を読むってのもどうかと思うぞ。一方で馬之助の息子が読む少年ジャンプは新刊だったりして。
当時はジャンプじゃなくてチャンピオンだろ。
そんなどうでもいいところは別として、単純明快で実に気持ちがいい。チープだけど。