オペラ座の怪人

静岡オリオン座で21:30の回。客入りは35人ほど。
4回目にして初めて内容の話。
舞台では不自然に大きい椅子の中に隠れるファントムが映画ではどこに行って、どうなるのか?
導き出される答えはただ1つ。オペラ座の怪人社会主義思想に共鳴して共産革命に身を投じたに違いないと確信する。

映画と舞台とで描写の違う場面はいくつもある。その中でも印象的なのは最後に鏡を叩き割る場面だった。というのも、初日に劇場に入った時に漏れ聞こえたのがガラスを叩き割る音だった。この時に「舞台にはないけど鏡を叩き割っているんだろうな」と容易に想像できた。そしてそこに描かれていることのアウトラインが目に見えた。
それが今回、4回目にしてやっと確信が持てた。
最後にファントムが叩き割る鏡は全部で3枚。
まず1枚目。クリスティーヌが初めて地下室に連れてこられて仮面を剥ぎ取る場面。この時にファントムは顔の醜さを鏡に映すために覆いを取る。1枚目の鏡は外面の歪みを映す鏡である。
2枚目の鏡はシャンデリアを落とした後にクリスティーヌを地下室に連れてきて、クリスが開き直る場面。あなたに騙された、顔も忘れられないけど心はもっと歪んでいる、と宣言して覆いを剥ぎとってファントムを映す。2枚目の鏡は心の歪みを映す(と主張する)鏡である。
しかしラストでファントムが叩き割ろうとするが1枚目の鏡も2枚目の鏡もヒビこそは入れど割ることが出来ない。
叩き割ることが出来て、その後に地下室から抜け出す道が現れるのは、自ら覆いを剥ぎ取って現れた3枚目の鏡である。3枚目の鏡は一体何の歪みを映す鏡なのだろうか?


オペラ座の事件は1870年、資本論の初版は1867年である。