憑神

http://www.mag2.com/m/0000227749.htm  静岡銀幕週報より

「前半コミカル+後半シリアスの足し算映画にはもう飽きた」

6月20日、19:00からの静岡東映での試写会。

映画自体には落ち着きと言うか大作っぽい雰囲気がある。ただ、この映画のいいところは
すべて西田敏行佐々木蔵之介香川照之、この3人の魅力で持ってるようなもの。
台詞は大して面白くないけど、この3人の力技で無理やり笑わされる。
面白い英語の吹替を入れて海外に持っていったら、アメリカあたりでそれなりに評価されると思う。

お参りする神社を間違えてロクでもない神様に憑かれる若武者の葛藤。
貧乏神・疫病神ときて、最後は死神が。ここで幕末の佐幕の武士としての死に様と
リンクさせた死生観を語らせるのだが、これがどうにも上滑り。

前半はテンポが良くてコミカルで、後半に妙に高尚なテーマをくっつけてずっこける、
こういうエンタメと芸術の単純な足し算みたいな、言うならば
猿の上半身と魚のしっぽをくっつけて人魚です、みたいな映画はもういいよ。
コメディを見たい人も、生き様を見たい人も、誰も納得しないよ、こんなの。
どんな客がこの映画を喜ぶと思って作ったんだろ?
というか、客を喜ばせるための映画じゃなくて、最初から業界を食わせるために
作られた映画なんだろう。
役者は冴えてるし、映像もいい。ただ、志だけが低い。