巨匠ピカソ展

博物館にはよく行くけど、美術館とはあまり縁がない。
その俺をして国立新美術館に足を運ばしめたもの、それはやはりパブロ・ピカソという天才の生き様だろう。○○の時代、と呼ばれる時代がいくつも続くということは、ひとつのことに集中した証。行き着いた境地から見える新たな世界に没頭する、決してひとつの立場に安住せず、自分の表現方法を求めてチャレンジを続ける、その生き方はまさにローリングストーンと言える。

俺は青の時代のピカソは嫌いだ。
人間が素質として持つ哀しみを青で表現したことは安直だとさえ思う。そしてその思いはピカソにもあったのだろうと、この展覧会を見て確信した。

国立新美術館の展示はピカソの時代の変遷を具体的に示す形になっていた。特にアフリカ彫刻の時代を見てからキュビズムの時代を見ると、あのわけの分からないと世間で言われる抽象画が分かるのよ。
アフリカ彫刻の時代の絵を見ると、肉体をどこで区切って見ているのかという単位のようなものがなんとなく見えてきて、その単位でキュビズムの時代の絵を見ると、なにを、なぜこのような形で描いたのかがなんとなく見えてくるような気がした。
これって、人間の記憶とか認識とかいうものの奥底の世界なんじゃないの?

奥の一番大きな部屋はすごいね。
圧倒されちゃってなんかワケわかんなくなって、何周もぐるぐる回って、最後はスキップで移動してた。我ながら壊れてたと思う。
つーか、正直最後は体力の限界。この作品群を正面から受け止めるのには相当の体力が必要だ。見てるだけで疲れる。普通座れば休めるんだけど、一番奥の展示室の中央の椅子に座ってた時が一番疲れた。