静岡県知事選挙を簡単にまとめてみる


もともと坂本由紀子石川嘉延県知事のもとで副知事をやってて、そこから2004年の参議院静岡県選挙区で出馬して当選、知名度抜群。
その2004年の参議院静岡県選挙区で落選したのが海野徹。もともと自民と民主で分け合ってきたのに、民主党静岡県連が連合批判の立場に立った海野を嫌って、対立候補を立てて落とした。ちなみにこの対立候補として当選した藤本祐司川勝平太の選対本部長になった。


今回の県知事選挙でいえば、最初に立候補したのが海野徹
もともと石川嘉延が5選を目指していた。一応表向き、民主党自民党との相乗りをしないことを表明して独自候補の模索をしていたけど、実際のところどこまで本気だったかは自明。
ところが西松事件の影響で静岡空港立ち木問題を言い訳に、石川がトンズラしたことから迷走が始まる。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090427/1240764042


当初は自民・民主相乗り候補として「伊東市出身の民間シンクタンク理事長(62)」の出馬を要請したけど拒否。
続いて「西部の大学理事長(60)」に要請するも、これも拒否。


これを受けて坂本由紀子が出馬を表明。そりゃ絶対勝てると踏んだだろう。
ところが天野進吾県議など自民党の一部が離反、民主党との相乗り候補の模索が続く。


一方、連合が仕切る民主党では、既に出馬表明をしている海野徹は連合批判をしているから推薦しないことを早々に確認。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090317/p4
独自候補を模索するも勝てる候補が見当たらず、自民党の一部と相乗り候補を模索すると同時に、県連会長である新バカずや・・・じゃねーや、榛葉賀津也参議院議員の擁立の方向へ動くも、残り任期が4年あることなどを理由に党本部が拒否。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090510/1241967659


このまま民主不戦敗、と誰もが思ったところで意外な展開が訪れる。
「西部の大学理事長(60)」こと川勝平太がいきなり
「学の独立を脅かす事実があり、学長として断固として対決していく」
とか言い出して出馬に前向きになる。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090531/1243741946


常識的に考えれば、坂本由紀子が念を押すつもりで圧力かけたら薮蛇が出てきたというところだろうが。
もっとも学長として対決していく奴がなんで県知事になるのかは理解不明だけど。


このときに川勝を民主党本部に連れて行ったのが細野豪志だということろが、俺にとっては心の救いだ。
山本モナがどうしたとか言っても、この人は凄い人だし、野次馬として俺が接した政治家の中では鈴木宗男と並んでトップクラスのオーラのある人。20年のうちに総理大臣になる人だと思う。


今の民主党静岡県連って、はっきり言って連合に逆らえないんだ。
労働組合の利権政党が静岡の民主党。しかも、海野徹の追い落としを見ても、「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者である川勝平太を担いだところから見ても、それ以前の市議選や県議選を見ても、一昔前の京都の共産党のようなしたたかさを持ってるんだ。
でもな、言いなりロボットじゃないぜ、細野豪志は。多分。
俺の人を見る目は間違いだらけだけど、細野豪志は目的のために泥水を飲める男だと思う。多分。


それはともかく、小沢一郎は川勝・海野の一本化調整を、独自の世論調査を元に、海野を軸に行っていた。世論調査の結果は小沢一郎のコメントにもあるように海野有利だったと思われる。

しかし決裂。そりゃそうだ、県連としては連合の敵・海野を落とすことが第一目標で、仮に坂本県知事が誕生しても政策的にはなにも変わらない。一方海野は海野で、仮に交換条件で次の選挙での優遇が約束されたって、どうせ県連の横槍が入るに決まってる。


一方その頃共産党は、民主分裂を確認してから歴史上稀に見るダメ候補を擁立した。海野で一本化してたら立てなかったと思うんだけど。
でもなー、あれでも65,000票取れるの。出口調査によると共産党支持の8割が平野、2割が川勝だそうだから、共産支持層から流れた16,000票で勝敗が決まったようなもの。今回の川勝と坂本の差は15,000票。
平野を立ててなければ、65000のうち投票に行くのが半分としても、その票は全て反自民1番手に行くわけだから、共産党が出なければ50,000に近い票が反自民党一番手に流れるわけで、その影響は実に大きい。


奥之山隆、天野進吾、中沢通訓、中谷多加二、佐原徹朗の自民党県議は川勝を擁立しようとしたとして自民党県連から文書注意処分を食らって、その後は・・・続報なし。おそらくは水面下での自由活動だったと思われる。


そして突入した選挙運動。
政権選択に注目の集まる国勢のあおりを受けて、無風続きだった静岡県知事選挙に急に注目が集まり、舞い上がった静岡県民がこぞって川勝に投票。
あえて言う、そしてこのザマ、と。

海野徹   332,952
川勝平太  728,706
平野定義   65,669
坂本由紀子 713,654


はっきり言うけど、本当に県政を変えたかったら8年前、
http://www.senkyo.janjan.jp/election/2001/22/00001338.html
このときに変えてようよ。もう、明らかだったじゃん。なにを今さら!!!!
今さら川勝に入れたって、国政に煽られて、4年前には郵政選挙に煽られた軽薄な人たちにしか思えないよ。


既に川勝は「静岡が変わった」とか言ってるけど、まだなにも変わってねーじゃんw
変える気もねーだろうしな。


今回の静岡県知事選挙で起きて、おそらくはこれから総選挙で全国的に起きるだろうことは、土建業や農業のような旧来の強者に支えらた自民党から、公務員や大企業といった新たな強者に支えられた民主党へのチェンジに過ぎず、強者のための政治に弱者が右往左往するのは変わらないってことだ。