火天の城〜ホームドラマ要素は邦画の義務なのか?

静岡ピカデリー1で19:05の回。客入りは20人ほど。

「築城せよ!」は素人が団結してダンボールの城を作る話だったのに対して、「火天の城」は職人が命がけで本物の城を作る話。
この職人の仕事の部分はとても興味深いのに、対照的なのが付随するドラマの安っぽさ。

ぶっちゃけ、一部のキャスティングが明らかに悪い。見る前は西田敏行どうなのよ?と思ってたけど、見終わった後になってみると娘役の福田沙紀が悪いと思った。なんか一人だけ花火大会を見に来た女子高生みたいな感じで。「お父さん」「お母さん」って言葉もどうなのよ?
あと河本純一。芸人としては大好きだけど、豊臣秀吉がいつ「お前に食わせるタンメンはねえ!」って言い出すか、ヒヤヒヤしちゃった。豊臣秀吉ジャッキー・チェンの映画に出てくる料理屋のオヤジとキャラが近いからなー。


とはいえ職人の仕事と心意気には見所が多くて十分に楽しめた。
木曽義政にしろ織田信長にしろ、その家臣たちにしろ、職人を完全に見下して差別的に脅迫的に当たるわけ。でも職人には職人の筋というものがあって、職人同士通じるものがあって、それに命を懸ける。その職人の姿がなんとも美しい。
さらに美しいのがロケ地は長野と台湾に分かれてるそうだけど、大黒柱にふさわしい檜の神木と森。

巨木が職人たちの手で見た目にも滑らかな柱に変わり、白く輝く柱を、大勢の男たちが力をあわせて体中に汗を輝かせて礎石の上に立てる。
巨大な城の中心に遥かそびえるようにそそり立つ柱の存在感。これは大きいスクリーンで見たいところ。
クライマックスがすごい。大きな大きな城を支える大きな大きな柱を切断する。最後はチョコチョコっとカンナで削るだけなんだけど、これが力が入るんだ。ちょっと間違うと城が全部崩れちゃんだから。


城作りの部分は本当に面白いんだけどなあ・・・。
大仕事の陰には大切な人たちとの諍いや、払うべき代償があったりする、という部分の描写がホームドラマ的な部分の目的なんだろうけど、理解できなかった。つーか、ピンと来るものがなかった。
でもそれは多分、俺がまだ未熟でそういった部分を過小評価してるからなんだろうな。