ABYSS MAGIC SHOW

ABYSSと名付けられたマジックショー。
チラシにはこう謳われてる。

ラテン語天地創造以前のカオスの意味を持つ「ABYSS」と称したマジシャン大地のマジックプロジェクトは「運命を信じるか」「神を信じるか」「確立(原文ママ)を信じるか」などの信じるというメッセージが込められており、観る者の心の奥深い部分を引き出し、自分と向き合うことの出来るマジックを目指します。

ぉぉぉ、なんとスケールのでかいメッセージ。
マジックってのは人間の心理につけ入ることがあって、悪くすれば騙すことも出来るテクニックだし、だからこそマジックというものは魅力的なんだ。


マジシャン大地のプロフィールや開演前のMCで「マジックから連想されがちである鳩出しや人体切断はあえて演じない」と紹介されてるけど、俺がマジックから連想するのはむしろカードマジックで、そういったクロースマジックを得意にしてるようだ。


チラシといい、ホームページといい、パッと見のセンスは素晴らしい。とはいえ、いいデザイナーを使えば出来る物。ただ、マジックショーという非現実世界を作り上げる
にあたっていいデザイナーを起用する意味を分かってる、という点でショーに期待が持てる。


会場はグランシップ・中ホール大地。ここには初めて入ったんだけど、静岡市民文化会館の中ホールとは比べものにならない贅沢空間だね。
またスタッフが黒ずくめで統一されてて、開演前の場内BGMが水滴の落ちる音だったり作り込みがお見事。
実は静岡在住のマジシャンだとか、3500円というチケットは貰い物で、当日券を売ってる様子もないとか、最初は全く期待してなかったんだけどね。ここまで来たら期待するなという方が酷。
これは過去の経験上、思わぬ拾い物パターン。


客入り700人ほどで開演して、いきなりカードマジック。ステージにカメラマンがいてスクリーンに映し出す趣向。
手際が美しいね。上手いよ、この人。とはいえ、なんか普通の上手いマジック。


そしてこのプロジェクトの売りのメンタルマジック。
いやー、参った。
最後の大ネタ。
携帯をお持ちの方、電卓機能を使ってください。年齢を入力してください。一番幸せなことが起きたのはいつでしたか?西暦を入力して足してください。何年前でしたか。入力して足してください。生まれた年を入力してください。足したらいくつになりましたか。
客席のあなた、ステージの人のを計算してください。4020。あなたは?4020。
みなさんはどうでしたか?4020になった人は立ってください。客席のごく一部キャー。
ここのボードにその数字を予言してあります。4020です。


あいたたったたたたったたたたーーーーーーーーーーー
いや、こういうネタもアリなんだけどさ、こういうネタはこう演じるもんじゃねーだろ。
クロースマジックみたいにネタの構成と小手先に頼り切ったら普通の頭の持ち主なら白けるしかないんだよなー。2010年×2=4020になるに決まってるじゃん。それが分かってて楽しめるようにしなくちゃ。


エンディングのコインが増えていくクロースアップマジックがまた本当に上手いんだ。
それだけにもったいないというか、人を楽しませるより人を騙すのが楽しいんじゃないかとか、いろんなことを考えちゃった。