リトル・チルドレン

サールナートホールで14:45の回。
お盆ということもあって満席。客のほとんどは中年女性。

小児愛の犯罪者が釈放された町で子育てをする主婦と主夫の不倫劇を軸に展開する。

リアルにエロい。
大人になったらもっとスマートに色恋沙汰もこなせるもんだと思ってたけど
案外そうじゃないんだよなーってところもリアル。変なところで思い切りと
要領が良かったりすることもあるけど、でも大体において臆病で。
そこに豪雨というキッカケがあるのはこの映画がファンタジー映画だから。

登場人物を全員十代に置き換えたら爽やかでほろ苦いだけのよくある青春ドラマで、
結末ももっと別のものになっていただろう。
この映画からそういった青春ドラマを引いたものが、10年なりそれ以上余分に生きた
時間の重みなんだろうと思う。

この不倫カップルを取り巻く人物もみんなオトナコドモ。
子育て主婦軍団は中学生から変わらないであろう妄想話好き、人生を変える失敗の
代償行為として正義感で隠した攻撃性を爆発させるマッチョ男、人を人とも思わない
ザコンロリコン
でもみんなそれなりに苦しみ迷いながら日常を生きている。目の前だけの愛に
目をくらまされ、大切なことはなんにも見えてない。見ないようにしてるのかもしれない。
そんな人間の一人として、最後にひとつのまとまった、決してハッピーとは言い切れないにしろ、
明日に望みを持って生きていける、そんな結末を迎えたことに安堵をした。

幕の引き方がすばらしい。この映画の魅力はその1点にある。
ひとつ間違えればただ嫌な気分を残すだけの映画になっていたところだ。