ヘブンズ・ドア〜死神・福田麻由子再臨

静岡ミラノ1で19:00の回。客入りは5人。

オリジナルはドイツ映画の「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」2ちゃんねるあたりのカルト的な評判に惑わされてヤフオクで落札した。届いたらビデオテープだった。確かに説明にVHSビデオとは書いてあったけど、DVDカテゴリに出品すんな、ボケ。
ビデオも見たんだけど、今ひとつピンと来なかった。ただ雰囲気は良かったので、劇場で見たら別の印象かな、という感じだった。ただ最後の「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は強烈な印象だった。

オリジナルは三十路独身男性2人の設定だったものが、日本版ではTOKIO長瀬智也と、狂気の死神こと福田麻由子という取り合わせ。
ジャニーズと子供、世間的にはどうしようもない組み合わせだけど、俺は悪くないと思ってた。つーのも、静岡銀幕週報の方では何回か指摘したけど、福田麻由子の死神っぷり、狂いっぷりは半端じゃないからね。
今回も期待に応えてくれた。そしてあの曲とあの景色とあのエンディング、それだけで十分だよ。


舞台が身近な分、画が安っぽい印象は残った。一方で画の質感みたいのはずっしりと感じられた。


福田麻由子、15歳か。微妙な年頃で前作「犬と私の10の約束」から1年、また大人になった感じ。
オリジナルだと男2人でテキーラ飲みまくり、タバコ喫いまくりなんだけど、福田麻由子の1回だけの飲酒喫煙も違った角度での背徳感ありまくり。


2人とも病院で余命わずかと宣告され、半ばヤケクソで出会う。
「知ってるか?天国ではみんな海の話をするんだ」
しかし福田麻由子は海を見たことがない。
なぜ天国では海の話をするのか?
それは天国には海がないから。だから海に沈む夕陽の美しさを語り合ったりする。海を見たことがなければ、天国でその話題についていけない。


だから、一緒に飲んだテキーラの勢いも借りて、海を見に病院を抜け出す。病院の前にはエンジンのかかる状態で、大金を積んだオープンカーが。
かくして警察と、オープンカーの持ち主であるグッドウィル折口雅博から追われるハメになる。


最後は浜岡砂丘らしい。道理でどっかで見たことがあるような景色だと思った。
オリジナルの、片方が座ったまま倒れて死んで、もう片方が一瞬そちらを見て、すぐに海を眺めるバックショット、というエンディングもいいけど、本作の、肩に寄りかかって死んで、2人でそのまま海を見続けるバックショット、という終わり方も劣らずに素晴らしい。
寄りかかって暗転、エンドロールだったら、ハイハイそうだろうね、って言う人でも、あそこまでやったら認めざるを得ないんじゃないの?


じゃあ、映画の話はこのくらいにして、海に沈む夕陽の素晴らしさの話でもしようか。
そもそも静岡市民は、夕陽なんか見たことがないだろ?高草山に隠されて、夕陽の一番美しい瞬間なんか見たことがないんだよな。