裁判員・名探偵電車男
5月30日にテレビ静岡で放映された
裁判員制度ドラマSP「サマヨイザクラ」
すげーーーーーーーーーーー!!!!
こんなの見たことない!傑作だ!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%A8%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%82%AF%E3%83%A9
原作あるのか!道理で素晴らしいはずだ。
広場で近所の主婦3人殺人事件、被告人は28歳のヒキコモリオタク。発見者は知り合いの主婦、目撃者は子供の頃に被告人にわいせつをされた少女。被告人はこの広場にあるホームレスが住んでいた元防空壕から出てきたところを逮捕された。
裁判員にはネットカフェ難民で、電車男と俺に呼ばれるオタクが選ばれる。つーか伊藤淳史なんだけど。
塚本高史演じる被告人は犯行を認めて死刑にしろという。しかし弁護人は本件犯行の根底に地域ぐるみのこの家族への嫌がらせがあり、情状を酌量して死刑を回避するように求める。
裁判員制度ドラマと謳われている通り、ドラマの大半は法廷と評議室で進む。
裁判員と陪審員の違いこそあれ、この手の法廷ドラマの傑作、「12人の怒れる男」を思わせる・・・というよりはある意味傑作である「12人の優しい日本人」を思わせるような内容で話は進んでいく。
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人が人を裁くという根本的な問題はもちろん、裁判員制度の問題点が被害者のプライバシーという点以外はほぼ網羅されていた感じ。
・公判での検察官や弁護人のキャッチーなフレーズが濫用されること
・職業裁判官が判例に基づいて評議を誘導すること
・変則多数決であり、3人いる職業裁判官は事実上裁判長縛りであること
・裁判員が私生活の恨みを反映すること
・評議内容が漏れやすいこと
・裁判員に訴訟指揮権がまったくなく、裁判長が与えた内容で評議すること
このドラマでは「集団の悪」という地域いじめのフレーズが使われていたが、
【神隠し殺人初公判(1)】動機は「性奴隷にしたかった」 交際経験ない被告
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090113/trl0901131112003-n1.htm
で「性奴隷」という被告人が自発的に使ったわけでもないキャッチーなフレーズが大きな影響を及ぼしそうなこの裁判は、裁判員制度を意識したというのも道理の、かなりヤバイ事例だと思う。
結局、プレゼン能力が罪と罰に、今以上の影響を与えるだろうことは想像に難くない。
とかさ、イジメは微妙な問題で、この電車男裁判員も会社でいじめられてたり、お姑裁判員は嫁いじめはいじめじゃないと思ってるし、いじめられたりいじめたり見てみぬ振りした営業マンがパニくったり、社会生活の経験はいろいろで、たかだか6人の裁判員じゃ偏りだって絶対に出てくるんでね。
ハッキリ言って、裁判員制度なんてまともな制度じゃない。しかし、それ以上に職業裁判がまともじゃない、ってみんな思ってるわけだよ。司法関係者も、自分は世間ズレしてるんだろうな、って自覚して自信喪失してる。
確かにそれも事実なんだけど、裁判員の偏りというリスクに比べたら全然マシな部類だと思うけどね。
死刑判決を出してストレス解消したいクソガキが6人集まる可能性は相当大きいと思うよ。
とか、裁判員制度の問題を散々しておいて、だよ。
そろそろエンディング。弁護人のキャッチーなフレーズに流されちゃいけない、ってえんで電車男はとうとう死刑に票を投じるわけだ。他人の人生を変えて、自分の人生が変わるかと思えば、何も変わらない。
時間は22:40。そして淡々と社会は回っていきます。
と思ったところから超展開が始まる。
ねぐらのネットカフェに戻って、オタクイベントの写真を見ていたら、なんと犯行当日にそのイベントに参加していた被告人が写ってるじゃないか!!!!!!
だったらその時点で裁判所に連絡するなり、判決公判が始まる前に誰かに言えよ!
ところが電車男は違う。死刑判決のお約束、主文を後回しにした読み上げが始まってから異議申し立て。
すると被告人が、実は自分じゃないとか言い出して閉廷。
つーか、実際だったら被告人が真犯人じゃないことが証明できれば十分なんだろうけど、ここでわれらが電車男裁判員探偵が活躍。
ええええ?ここからどんでん返しか!?
電車男独自の調査で、広場に住んでいたホームレスは目撃者の少女の父親だったことが判明!
しかも被告人の少女に対するわいせつ行為は、自作自演を疑われた少女を守るために被告人が罪をかぶっていた!
そして被告人・目撃者の少女・ホームレスは仲良くコミュニケーションをとっていた!実は真犯人は!その殺人の理由は!
いやはや、この最後10数分のたたみかけはお見事。
超展開で最後のたたみかけっつーと2004年に「フォーガットン」って映画があったの。
子供を拉致された母親、しかし警察からも父親からもそんな子供がいなかったと言われるの。でも独自の調査で子供がいたことが証明されてきて・・・という、すげーサスペンス。とうとう行き付いた真実は・・・
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ワ・ス・レ・ローーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
と宇宙人が言ったらみんな忘れちゃった、つーオチ。
真実に近づいたら
ズバコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
と宇宙人にどこかに飛ばされてしまう罠。
まぁ、日本語タイトルが「フォーガットン」だからな。「トン」だよ「トン」。「フォーガットゥン」じゃなくて。
思わずこのフォーガットンのどんでん返しを思い出したよ。
ええええ?!裁判員が独自調査で真実を導き出すの?!そりゃねーよ?
つーか、途中で完全にテーマがブレてるだろ。素晴らしすぎる!!!!!!!!!!
で、静岡タグに戻るわけだが。
このドラマの素晴らしいところはただ一つ。「大人の常識」とは別の世界が世間にはあって、そこに真実があっても常識者には分からん、ってこと。
2007年9月に、安倍川の河川敷で10代の女の子が車で拉致されて、車内の刃物で犯人を殺して脱出、正当防衛で放免された事件があった。
俺、この事件はおかしいと思ってるんだ。
http://rrd.blog.shinobi.jp/Entry/106/
http://rrd.blog.shinobi.jp/Entry/159/
大切なことは、真実がどこにあるかじゃない。[疑わしきは罰せず]という原則が守られているかどうかなんだ。
この件の場合は罰する以前に殺されちゃってるんだけどさ。