カイジ 人生逆転ゲーム

静岡東宝1階で15:10の回。客入りは女子中学生からくたびれた親父まで30人ほど。


しかしなー、カイジなんて女子中学生に分かるのか?いや、確かに中学生こそ読むべき漫画だとは思うんだけど、藤原竜也松山ケンイチ目当てで見に来られると逆に複雑。

カイジ―賭博黙示録 (1) (ヤンマガKC (608))
カイジ―賭博黙示録 (1) (ヤンマガKC (608))
おすすめ平均
starsギャンブルという「闇の奥」
stars引き込まれる名言の数々
stars面白いけど好きにはなれない
starsとにかく凄い!!
stars限定ジャンケンだけなら「特Aランク」の漫画。それだけにその後の失速が・・・・(涙)。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


とはいえこの映画に、原作にある中学生に見てほしい世界というものがどれだけ描かれていたかというと、まぁ焼き土下座がないだけでも問題外と言える。

もっともこんなの、リアルに実写化したら15禁どころか18禁ものだし、そんなものを最後は地上波でオンエアしなきゃいけない日テレに作れるはずもない。


やっぱりこれらの刺激と、むき出しで絡み合う人間の詳細な描写なくして名言の数々は生きてこない。
あっという間に現れてあっという間に消えていく命を踏みにじっても、「命は粗末に扱わなければならない」という言葉は決して立ち上がってこない。まして命は決して輝かない。


とはいえ、だ。
課せられた制限の中で、カイジの世界観の「さわり」の部分はよく描かれていたように思う。3シリーズにわたる大抒情詩の美味しいところだけをつまんだとはいえ、それを強引な点があるとはいえ、よくまとめた。切り捨てられた部分はもったいないけど、涙して切ったんだろうと容易に感じ取れる。


また役者もいい。もともと俺は何回か書いてるけど香川照之という役者が好きだ。今は利根川役だけど、本当はあと20年くらい後の香川照之で兵頭会長役を見たかったよ。いや、むしろ今でも若いころの兵頭会長としてキャスティングするべきだった。
とにかくこのひとの狂った演技は絶品なんだから。本作だって、エスポワール号での冷静な利根川より、Eカード対決に臨む利根川のほうが魅力的だったし。


あと藤原竜也も相変わらずいいね。
普通イケメンってのは汚れてもイケメンだけど、この人はきちんと汚れることが出来る。キモイ、って言われたとき、キモかったもん。なにを演じても藤原竜也だと分かっちゃうワンパターンな部分はあるものの、きちんと変化をつけることが出来る人だ。


単発の映画としては納得の出来だけど、短絡的な原作に思い入れがあったり、原作で短絡的に人生変わっちゃったりしてたら、これがカイジの映画です、って顔をされて短絡的な反発を覚えてもやむをえないかもしれない。