白銀の鞍馬で心洗われる元旦

晦日京都市内に白いものが舞った。雪、というほどのものでもない。静岡でいうなら風花というべきもの。しかし鞍馬まで行けば雪が見れそうだ。


元旦、混雑するだろう京の町をあとにして鞍馬に向かった。叡山電鉄の宝ヶ池を出たあたりから雪が姿を見せた。初めは軒下や畑の畦に隠れるようだった雪が、一駅ごとに増えてくる。北に向かってるのと、登山電車なみの急勾配で高度が上がってるのとがあいまって、この急な雪の増え方には感動すら覚える。
東北本線の雪の増え方はこうじゃない。埼玉県内で雪が姿を見せ、栃木県いっぱいをかけて少しずつ雪が増えたり消えたりして増えて、福島県との県境で吹雪、そんな感じ。
ところが叡山電鉄は宝ヶ池からわずか20分でこれだ。

鞍馬寺は山門をくぐってから本殿までがさらにつづら折の山道。枕草子で「近うて遠いもの」としてあげるわけだ。しかしこの山道の参道がすばらしくいい。点在する史跡や神社も素晴らしいし、なにより雪が素晴らしい。
北海道育ちで雪が珍しいかと言われれば、珍しいと答えておく。



京都の雪は粉砂糖のようだ。北海道の雪もパウダースノーと言われるけど、京都の雪とは質が違う。北海道の雪は常に吹雪で吹き付けられ、吹き固められる。しかし京都の雪はふるいでふるったように、ふうわりと木の枝に乗ってる。そよそよと風がそよぐとふうわりした雪は、あたかも和菓子が舌の上でとろけて喉の奥に送られるように、その体を預けていた木の枝から舞い降りてくる。


本殿。ここの空から雲が生まれて行く様子が見て取れる。まさに霊山というにふさわしい光景だ。
奥の院への道はまさに雪山の光景。引き返す老夫婦もいた。足元が滑って仕方がない。

義経堂から奥の院まで参拝すると、すっかり元旦早々心が洗われたことを実感できた。この山の中を飛び歩いて育った源義経はさぞかし心の綺麗な人だったに違いない。


貴船神社まで降りてくる。縁結びの神様だけあって妙にカップル率の高さが目に付く。この寒い中、おみくじに水をかけたり、ご苦労なこった。
貴船神社奥の院。夜な夜な藁人形を打ち付ける人が出るそうだけど、この寒さじゃその痕跡を探す気にもならない。でもこの絵馬は藁人形に匹敵するよなー。
逃げてー、山本〇〇さん、島村〇〇さんから逃げてー。


叡山電鉄で木野まで戻って妙満寺へ。
庭園は雪の庭と呼ばれ・・・てるんだけど木野まで降りてきたらすっかり雪がない。
受け付けできいたら「午前中までは雪があって絶景だったんですけど」来る順番、間違ったなー。

出町柳まで戻って下鴨神社
さすがに夕方6時を過ぎてるから落ち着いた雰囲気。

「焙煎職人」「マサイの風」とコーヒーの出店があった。ありがちなポットコーヒーとは違って専門店っぽい。注文してみる。美味い。優しい香りと深いコクが印象的。屋台でこんなコーヒーを飲めるとは思わなかった。コーヒーが刺激物だってすっかり忘れてしまうようなコーヒー。
ストレートも美味いんだけど、カフェ・オ・レのアイスが美味い。ホットだと気がつかなかったんだけど、アイスだと入れたのが牛乳じゃなくて生クリームじゃないかと思うほど後を引く。
いろいろ試飲させてもらって、関西在住だったら月1で出してるというカフェにも通ってるところなんだけどなー。