今度は愛妻家

静岡ミラノ2で17:10の回。客入りは7人。


まず東映の邦画という時点で見る気が失せる。日本の映画をダメにしてるのは東映だと思うし、稀にツボにはまる映画もあるけど、打率が低すぎる。
監督が行定勲というのも良くない。「GO」は良かったけど、あれも窪塚洋介柴咲コウが良かっただけだし、「北の零年」での「殿が来たぞー」というセリフで化けの皮が剥がれた。
なによりテーマが夫婦愛、って俺にゃなんの関係もない。
普段だったら絶対見ない映画。なのになぜ見たかというと、俺の周りでこの映画を見て号泣したという人が2人いたからだ。2人ともぶん殴られてもなくタイプじゃないし、1人は独身だもん。

この映画を見たら、絶対叫びたくなるよなぁ。
奥様、旦那さま、彼女、彼氏、友達、先輩。
「好き」
「愛してる」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
沢山の言葉、沢山の思いを「今」言いましょう。

http://www.nikkoumekki.co.jp/blog/2010/02/post-533.html


タイトルからも推測できるし、予告編でも見た通り、作中でも薬師丸ひろ子が健康に異常なまでの気遣いを見せてたり、どう考えても死亡フラグがビンコ立ちしてる。
ちょっとした違和感は感じながらも、「まあ、死ぬんだろうな」と思いながら見てたわけよ。


また薬師丸ひろ子がかわいいんだ。年輪ともいうべき顔の皺は否定出来ないけど、デビュー当時から知ってる薬師丸ひろ子の中で一番可愛いのは間違いない。
言動が可愛いんだ。


俺はリアルでああいう言動をする女の子を知ってる。そして俺とは気が合った。なにを考えてるかよく分かったけど、その考えの果てに取る言動は、常に俺の思いもしないものだった。
気が合ったけど、気があったかどうかは分からなかった。つーか、そういうことは考えないようにしてた。俺には彼女がいたし、その彼女はああいう付き合いを本当に嫌がっていた。
その子は見合いで結婚する一部始終を俺に報告した。「結婚するな」って言って欲しかったんだと思う。その結婚より早く、俺が浮気したという妄想にかられた彼女は「仕返し」に別の男とくっついた。
それを責める気はない。なぜなら俺は「結婚するな」って言うべきかどうか迷ってたんだから。そして、両方失った。
俺は、どっちに、なにを言うべきだったんだろう?


思念の力は、時にそれを実体化する。「ファウスト博士の超人覚醒法」という本があって、思念を実体化させたタルパというインド密教上の存在について書かれている。

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薬師丸ひろ子が演じているのが、まさにこのタルパという存在だというべきだろう。


この映画では、人として出来損ないであるやくみつるの出来損ないみたいな姿をした豊川悦司が記憶をフラッシュバックさせた結果として見える幻想として描かれている。その幻想に出会って広大なる自己の心の深淵を見つめる過程は、図らずも密教における行に通じる部分があると言える。


うーん、なに書いてんのか、よくわかんねーな。
たぶん俺の心のどっかに、この映画にまつわる直視したくない何かがあるんだろう。