マイレージ、マイライフ〜人生宙ぶらりん

静岡ミラノ1で12:45の回。

静活は七間町では東宝洋画系とか東急松竹系とかの全国一斉封切館で、東京公開から遅れて上映することもないし、基本的にミニシアター向け作品を上映することもない。
静活が運営する小山町のシネプラザサントムーンではマイナー作品をいろいろ上映してるのに。
とはいえ静岡市内ではミニシアターとしてシネギャラリーが存在しているし、たまに思い出したようにシネギャラリーで上映しない作品をミラノで上映したりすることがあるけど、それも客が入ってるのを見た試しがない。


そんな中で、既に東京ではヒューマントラストシネマ渋谷とか新宿武蔵野館とかで3月末に封切りされた作品を静活で上映するなんてのは珍しいことで、普通ならシネギャラリーで上映されるものだろうに。
つーか、この作品の評判は知っていて、予告編も見たことがあって、某Fさんと面白そうだよね、なんて話もして、なのにシネギャラリーの上映予定に名前がないので電話して問い合せちゃった、なんてこともあった。
某Fさんは東京で見てきちゃったそうだけど。

客入りは70人ほどと大入り。「みんなで笑えば楽しさ100倍〜」のMovixへようこその歌じゃないけどコメディは大人数で見たいよね。
とか思ってたら、いっこ笑うところなんてない。なんだよ、これ?

アラフィフの独身男性、完全に一人の旅暮らしに最適化してしまった生活。最適化された行動のテンポの良さが実に小気味いい。その勢いでなんとなく見れちゃう。
なのにそれをぶっ壊す衆が現れるのよ。自信過剰のリア充新人女。それだけじゃなくて、この映画ではさんざん、一人でいるのは寂しいことで間違ったことだという押し付けが続く。


もともとこの映画の原題は「up in the air」といって、日本語でいうなら「宙ぶらりん」というような意味合い。もちろん飛行機で空を飛んでる様子ともかけてあるけど。
つまり結婚して家庭を持つのが人としての本来の姿で、そうでない衆は地に足付かない根無し草だと。大人じゃない、と。社会の一員でも家族の一員でもない、と。


そういう洗脳を散々繰り返して、ジョージ・クルーニーがようやっと本気になって女と一緒にいようと行動を起こした途端、女の方は実は地に足ついた結婚生活を送っていて、あれは遊びです、私は大人の女です、と。
ひでー足のすくい方。


確かにコメディといえばコメディだけど、皮肉な笑いしか出て来ないわ。
ただ最後に地に足付かない飛行機の旅暮らしに戻った時に、それまでのマイルを自慢するような、自分の置かれた立場を特殊なものとして受け止めていたところから、その生活を当たり前だと受け入れらるようになってるところは救いといえそうだ。