水銀座公演「2010−水銀座復活−6」 

Twitterってのは不思議なもので、さまざまな縁を作ってくれる。
鈴木大治さんとの縁もそのひとつ。

俺はもともと物書きを志して試行錯誤してきた。その延長で一昨年まで、ネットでは「駿河屋」の屋号で、実店舗では「エーツー」という名前の店をやってる会社で主に古本のネット通販に携わってきた。あいまに個人事業で「蘭々堂」の屋号でネット古書店をやったりもしてた。


偵察とセドリを兼ねて回った静岡の古書店、そのうちストロングスタイルとして知る人ぞ知る存在なのが馬場町の「あべの古書店」。
帳場には長髪で和服を着た、存在感のあるご主人が座っている。
店内は先代から受け継いだであろう本のほかに、ご主人が強そうなサブカル色の強い本が多数見受けられる。
サブカル色といえば、サブカルをテーマにした本を多く出版してたペヨトル工房が潰れたとき、在庫を数千冊単位で委託販売として引き取ったことが朝日新聞で報じられたことでも知られる店だ。
で、ペヨトル工房といえば俺の好きなプロレスの本をいくつか出版してたこともあって、馴染みが深かったりする。


そんなこともあって、いちど同業としてご挨拶しておかなきゃなー、と思ってたんだけど、正直なところ存在感がありすぎて、しかもこっちはブックオフ的な新古書店的な色合いが濃い立場、変に怒られても嫌だな、と思って、そのままになってるうちに最近に至ってたわけだ。


そんなある日のこと、今年の4月4日のことなんだけど、静岡まつりで超歌劇団のステージがあって、

超歌劇団・特別公演「暁に燃える白球を追え」 - NOW HERE

この時にツイッターでもツイートをしたんだけど、その時に

鈴木大治、劇団主宰、あべの古書店主人があなたをフォローし始めました

ってメールが届いたのよ。
え?と思ってプロフィールページを見たら、よーく見覚えのある御尊顔が。

http://twitter.com/MAGINRECORDS/

でええ、と思ってとりあえずフォロー仕返しておいた。
そのうちに4月末あたりにツイッターを通じて半額セールの告知があって、たまたま追手町にいたから、いよいよ覚悟を決めてご挨拶に伺った次第。
その時の話の中に、もともと演劇の人間でね、という話があって、こういう存在感の人の演劇ってどんな感じなものなのか、という興味があったところに、

【演劇】水銀座公演。「2010−水銀座復活−6」 5月30日(日)20時〜。場所:みろくさんぶ−静岡 市安倍川橋「弥勒交番」を南へ50m「少年科学社」隣。料金:無料。演者:鈴木大治、鷹匠訓子、土門土門エ門。独演5本立て、『雨宿り』、『デッドロー ド』、『銀の牙・抄』、他。

http://twitter.com/MAGINRECORDS/status/14965533992

という、電報か暗号のようなツイート。
Twitterは与えられた制約を考えると、電報や暗号と相性が良さそうだ。


俺も静岡市内いろんなところに行くけど、「みろくさんぶ」って聞いたことがなかった。「弥勒交番」を南へ50m、って俺、ほぼ毎日通ってるんだけどね。
名前が弥勒三部経に由来してるだろうことは分かるんだけど、どんな場所なのか、想像がつかない。
ネットで検索すると、おでん屋兼貸しスタジオという場所らしい。

行ってみると・・・確かにおでんのノボリの出てる店があった。
ドアを開けるとカウンターだけの狭い店内に客が7人。隣り合わせた部屋が貸しスタジオになってる。
とりあえずカウンターに座っておでんと芋焼酎を注文。ちなみにおでんは静岡おでんだけど、煮込みが全然足らんよ。やっつけてるうちに、ボーンボーンと柱時計が8回鳴った。柱時計かよ!そんなもん、久々に聞いた。


BGMのジャズが消され、店内の照明も落とされ、奥の部屋からいかにも「素浪人」と思しき男性が現れて一人芝居が始まった。


土門土門エ門。アンガールズのような独特の雰囲気のひとり語りに飲まれているうちに、え?終わったの?と思う間もなく消えてしまった。


続いて俺より一回り年上のお姉さんが現れ、一人芝居。鷹匠訓子による阿部サダと将校の一人二役
つーかその前に、いきなり俺がカウンターに置いてた携帯にアドリブでツッコミが入ったんだけど、妙な雰囲気に飲まれたままでリアクションとれなかったw
なにがって、いわゆる目ヂカラがすごい。
これまた雰囲気に飲まれてるうちにいなくなってしまった。


続いてガラッと雰囲気が変わって、土門土門エ門再登場。こんどはコンビニ店長。ぐちをこぼしてるうちに妙な客登場。新人だそうだけど名前失念。でもこのかっこよさ!


そしてサックス独奏に乗せて真打登場。@MAGINRECORDS鈴木大治。
オチから書くと、出雲阿国に脚本を書こうか、という作家という役の一人芝居。
ここにきてやっと、この芝居の台本は誰が書いてるんだろう?という疑問が湧いてきた。思うと時代や立場が違えど、演者と役とが上手くリンクしてるような感じがするんだよなー。


最後は「KONORIsp」というメクリの表示で、ノイジーなバンドの演奏。
エキセントリックなボーカルは鷹匠訓子。キーボードつーかシンセサイザーつーの?鈴木大治。エレキギターがみろくさんぶのマスター。
いいよ、誰にもおすすめは出来ないけど、俺はこういうの、好きだわ。

これとはちょっと違う。
つーかありがちなんだけど、内輪のノリの外にいる衆にとっては誰がなにやってんだか、よく分からないんだよね。「KONORIsp」ってなに?

 1992年11月3日、イギリスのレーベルDURTROよりリリースされるMAGICK LANTERN CYCLE(以下、MLC )のCDのマスタリングに立ち会うため、ヒースロー空港に降り立ったKONORI(鷹匠訓子)の旅行鞄には、一本のデモテープが入っていた。

中略


 KONORI sp.の活動は当初スタジオワークに限定されていた。これはライブの否定ではなく、全ての楽曲をアカリエスピーニョが単独で創作していることから、ライブ での再現性に無理があったためである。

Notes / Post-apocalypse #8

よく分からん。ただ、積極的に理解を求めない人もいることは十分承知。
理解を求めてないのか、理解を求める方法を知らないのかは分からないけど、なんかこれから見守りたいなー、と思った。