連続公開講座「書物」03 四夜連続 納涼怪談演講

三遊亭円朝の代表作に真景累が淵という怪談噺がある。
円朝の創作だということになってるけど、実際のところは当時は誰でもが知っていた「お累」の怪談の、今で言うところの二次創作みたいなものだったというのも割と知られた話。
じゃあ、その「お累」の話とはどういう話だったのか、そこまでは考えが至らなかった。


馬場町公民館で開かれた納涼怪談縁講のニ夜目は、あべの古書店のご主人で水銀座を主宰する鈴木大治の一人芝居「累ノ怪」で幕を開けた。



霊が憑り付いた菊という少女の言葉を聞き出す演劇人、そこで語られたのは村人が隠し通して来た因縁話。
つーか、若手時代のブル中野のような半刈り頭に驚いちゃった。幽霊の掛け軸と並んだラストはこのとおり。





続いて静大の小ニ田誠二先生による講義は演出力抜群のこの雰囲気。小ニ田先生って話も面白いし、この方との出会いがきっかけで近世文学に興味をもつようになる人も多いんじゃないかなー。
小ニ田先生が静岡にいるというのはもしかすると静岡の贅沢の一つなのかもしれない。



ipadでメモしたいことは多かったんだけど、とてもそんな状態じゃない。雰囲気だけでお腹いっぱい。
内容はお累の怪談が記されている「死霊解脱物語聞書」と、目黒の祐天寺で知られる祐天上人について。


菊に憑った累の話を聞き出したのは、芝居では鈴木さんを投影した演劇人だったけど、実際は祐天上人だったとの。
もともとの怪談話自体は円朝の創作とはだいぶ違って比較的単純なもの。
この話しってのは要は、落語の原型のひとつである浄土真宗の節談説教や絵解きらしい。こういった因果物語を語る事が布教活動であり、一方で映画やテレビドラマのような娯楽の提供でもあったんだろうね。
そして現代では、そのことを紐解くことが知の欲求を満たす娯楽になってるわけだ。