駿府寄席 柳家喬太郎独演会

前々回の駿府寄席でのチラシでこの柳家喬太郎独演会を知った。当然チケットは即完売と思いきや、あざれあの大ホールがほぼ満員とは言え空席があったのが意外。


柳家喬四郎が「つる」とかぐや姫新作落語
ネットでは随分と評判が悪いようだけど、滑舌もいいし声も通るし、牧之原出身とは思えないチャキチャキした雰囲気で、聞いてて気持ちがいい。静岡ローカルネタのマクラに続く噺も安定感があった。


柳家喬太郎が「幇間腹」と「井戸の茶碗」の二席。
幇間という商売、下手すりゃただのお調子者のイエスマンに受け取られかねない存在のところ、裏表ある普通の人間の覚悟と凄みをきちんと描いていたと思う。


こういった人間描写がこの人のウリとはいえ、「井戸の茶碗」の正直清兵衛もその調子で描くのはどんなもんだろう?味噌の味しかしない味気ない味噌ラーメン同様に、こういったパターン化されたヒネた人間描写だけが印象に残ってしまう味気ない噺になってしまってるように思える。


300両の大金を分けるかどうかという場面、分ける前なのに分けた後の150両と言い間違えたあとに喬太郎が取り繕ってた。この「喬太郎が」というのはダメなところだったと思う。
そもそも300両のゼニを目の前にした噺の中の登場人物ならそれを150両だなんて取り違いをしないだろうし、したところでそれも噺の中での出来事なはず。それなのにいきなり高座の喬太郎が「いけねえ、間違っちゃった」風に現代に呼び戻したのには本当に抵抗を感じた。
噺の最中に噺家が、登場人物としてではなく噺家として高座にいたらまずいでしょ。


そういったこともあってか、上っ面だけで噺をスラスラ流していくような感じで、ネタをさらってるだけのように聞こえた。