鰊の切り込み

ネット時代以前は静岡じゃ食べられない北海道ローカルの食品が多かった。ラム肉すら普通の店では手に入らなかったからなー。
最近じゃネット通販の取り寄せでなんでも手に入る。でも食品の通販は、おせちクーポン事件例をあげるまでもなく、やっぱり怖い。
で、物産展の出番になるんだけど、どうも物産展の中では抜群の売上を誇る北海道物産展もマンネリ化が進んでて、最近は面白みがない。


と思ってたら、今回は俺が初めて見るものがあった。
通販でも物産展でも手に入らない北海道の食べ物ってのがいくつかあって、飯寿しはそのひとつ。鮭やハタハタ、鰊なんかのなれ鮨なんだけど、これが北海道ではしょっちゅう食中毒を出すシロモノ。
だから物産展ではあまりお目にかかれないのに、この飯寿しを置いてる。
味をマイルドにしてあります、って説明を聞きながら味見する。案の定、全然漬かってない。ハタハタに麹をまぶしただけ、って感じ。

するとお姐さんが、飯寿しが好きなら癖があるけどこういうのはどう?と試食を勧めたものがある。
それが「切り込み」。静岡初登場で、他の物産展でも切り込みを知ってるお客さんが、よくぞ持って来てくれました、と喜ぶとか。


現物を見るのは初めてだったものの、確かに小樽の方ではこういう飯寿しをよく漬けたものを食べるという話を聞いたことがあった。
ぷぅんと鼻につく魚臭さと麹臭さがきつい。口にすると強烈にしょっぱい。なれずしというより塩辛。
そして塩辛特有のタンパク質を完全に分解したアミノ酸の旨みが後を引きまくり。飲み込んだ後の余韻をいつまでもチュパチュパと楽しみたい旨味とコクの後味が舌に残る。


思わず購入して、酒のサカナに、ご飯のおかずに、やべえ、喉がカラカラになって夜中に目が覚めるのがわかってるのに止まらない。