Hate Radioを見て、94年のルワンダと2013年の日本に類似性を感じた

ふじのくにせかい演劇祭の「Hate Radio」を見てきた。

軽妙なポップ・ミュージックの中に織り込まれた「悪意」
「憎しみのラジオ」が撒き散らす死のプロパガンダ――。
1994年、ハビャリマナ大統領の暗殺を皮切りに未曾有の惨事「ルワンダ虐殺」が始まる。100日間で犠牲になった「ツチ族」の数は50万とも、100万とも言われる。この凄惨な大虐殺の一翼を担ったとされるのが、ミルコリンズ自由放送(RTLM)というラジオ局であった。ミロ・ラウはこのラジオ局のメインパーソナリティであったヴァレリーやカンタノ、現在は戦犯として収監されている関係者たちにインタビューを行い、ラジオ局の内部を詳細に再現した。「その時」ルワンダで最も人気のラジオ局で、いったい何が起きていたのか。

http://www.spac.or.jp/f13radio.html



正直なところ俺も映画2本を見て、その周辺知識をちょっとググっただけでモノを言ってるわけで、ルワンダというローカルの真実がどれだけ分かるかといえば、そりゃ分かるわけがない。

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だから目の前のスクリーンや舞台で繰り広げられる場面から「ルワンダ虐殺の事実」について語る気はあまりないが、舞台の場面と今の日本の空気感との共通性については大いに指摘しておきたい。




「ゴキブリを殺せ」に象徴される攻撃的な煽り文句だけではなく、具体的な対象を明示して集団による攻撃を不特定多数にアピールするあたり、やってることはネットウヨクと一緒だわ。

一緒といえば、ルワンダでのツチ・フツという対立構図と、日本のネトウヨサヨクの対立構図とはまるで一緒なんだよな。血筋でいえば同じ出自なのに、生業の違いが経済格差、ひいては支配・被支配の階級を作り、民族分断というベルギーの植民地支配手法も絡んで、絶対に相容れない存在に仕立て上げられる。




もともと支配階級であった少数派ツチに対する不満が多数派フツにはあったとはいえ、その不満が直接的に虐殺につながったという単純構造ではない。フツの政権が生まれたから虐殺が始まったわけでもない。起きたのは普通の内戦だ。

虐殺が起きたのはフツの力が強まった時ではなく、弱まり始めた時である。

舞台でヘイトスピーチを続ける出演者たちに見えたのは、奢りではなく、焦りだった。高揚ではなく不安だった。

終演後のインタビューで出演者が、劇中のダンスは即興で陶酔を表現している、と言っていた。とはいえ、その陶酔がアルコールや「葉っぱ」からもたらされていることも描かれていた。陶酔は逃避だったに違いない。



フツの民衆を虐殺に走らせたものも同じで、「フツを奴隷にする」ツチへの政治的妥協や、大統領暗殺、ツチ勢力の侵攻といった不安が根底にあったはずだ。

その不安を憎悪という形で表に出したきっかけがこの舞台には描かれていて、それを体感できた。


リズムなんだろうな、きっと。リズムに乗ると、色んなものが勢いに乗って表出してしまう。

映画なんかでも効果音と場面がマッチしたら、やけに感動的になったりする、あれと一緒。

例えば在特会の高田誠が何が優れてるっって、そのへんのリズム感だよな。



たとえば「朝鮮人を叩き出せ」一つとってもそう。

「ちょーーせんーーーじんーーーをーーーー叩き出せーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

内容はともかく、リズムだけで言えば素晴らしい。「ドン!ドン!ドン!ドン!ドンドンドドドドドドーーー!太鼓に合いそうな、日本人の心に響く土着のリズムだ。

これがダメなサヨクだったら「消費税増税、許さないぞー!」なんかそもそもリズムがないし、「再!稼働!反!対!」で行けば「ちょう!せん!じん!を!た!たき!だせ!」みたいな感じ、チンパンジーがタンバリン叩いてるんじゃないんだからさ!

もうちょっとなんとかしようよ。





なんとかしておかないと、なにかのキッカケがあったら、リズム一発で大衆が流されちゃうよ。もうすでに生活不安とか、おかしな民族意識とか、条件は出揃ってるんだし。

ある意味、今は安倍ちゃんが首相だから収まってるようなもので、逆に安倍ちゃんがいなくなった時がヤバイような気がする。変な死に方や降ろされ方をした時が。

ルワンダの虐殺も親フツのハビャリマナ大統領が飛行機事故で死んだのがキッカケだし。