ブロークン・フラワーズ

19:10からの「愛より強い旅」を観るつもりでシネギャラリーに行ったら既に遅刻。この遅刻の経緯も変だった。丸子から唐瀬に荷物を運んでからシネギャラリーに行くつもりが、まず挙動不審の車にさえぎられて国1から御幸通りを左折しそこね、さらには静清BP側道から唐瀬街道に出損ねて流通通りまで行ってしまって、遠回りしたのがおよそ10分。ちょうどこの分の遅刻。
帰ろうかと思ったが、「ブロークン・フラワーズ」の上映時間が迫っていたのでこれもお大師様のお導きと思い飛びこむ。

で、実際この作品、実に困る映画だ。
ビル・マーレイの表情はもともと困り顔だし、訪ねていった元カノ宅の居にくさもそれぞれいろいろあって困りもの。
元カノよりその娘がノリノリで居にくかったり、全然自分と遠いセンスの持ち主だったと気付かされて居にくかったり、まったく理解不能な変化をしていて困ったり、嫌な思い出を爆発されて困ったり…。
いやぁなんて他人の不幸って面白いんだろうねぇ…。映画だから他人の不幸を心から楽しめる。ただ沈黙の間とビル・マーレイの顔の筋繊維1本単位と目玉の1ミリ単位の動きで笑わせるコメディだから分からん人には分からん。
でも全員が実に普通で、それでいながら一歩間違えたら誤解されるような狂気を秘めたヘンな生活を送ってる。その生活に至った過程をぶっ飛ばして、それでいてその生活とディープに交わりあうことにより浮き出す、人はそれぞれ一生懸命に生きていると言う温かみあふれる人間像が強烈に心に残った。
で、手紙を出した犯人の謎解きはというと…あの終わりかたは映写トラブルかと思った。えええ?って感じ。困る他人を楽しんできて、最後に俺が困った。困る俺を、俺は楽しめただろうか?