消された横綱


俺は朝青龍が好きだ。そして今回の騒動にも胸を痛めてる。
ところで朝青龍が前代未聞のトンデモ横綱であるかのような報じられ方だけど、ここまで双羽黒の存在がSMAP森且行のように完全スルーされてしまうと空恐ろしいとさえ思う。


その昔、プロレスが元気で俺もよく会場に足を運んでいた頃、大きな選手というものをずいぶん見てきた。ただその中で、純粋に大きくて強そうで怖くて驚いた選手というのは、北尾光司を除いて他にない。
アンドレ・ザ・ジャイアントはブヨブヨしてたし、ジャイアント馬場に至っては大きいというより長かった。

恵まれた体格と素質は誰しもが認めるもので、実際大関までの昇進は比較的スムーズだった。しかし父親が建設会社の取締役で、一人息子として甘やかされて 育ったためか、稽古が少しでも厳しいと「故郷へ帰らせてもらいます」が口癖で、また師匠も本人ではなく兄弟子に厳しい稽古を注意した。ひどい時は稽古をサ ボって喫茶店に行ったりもしたが、師匠が注意をしないため、誰も見て見ぬふりをしていた。さらに弟弟子に対するイジメまがいの行動(付き人をエアガンで撃って遊ぶなど)で、付き人が集団脱走・廃業した等と報道されたこともある。そういった人格面での問題と、不透明な横綱昇進の経緯もあって、全盛時代から相撲ファンの間での評価は割れていた。

北尾光司 - Wikipedia

千代の富士の全盛期、どうしてもライバルが欲しいということで、素行不良は承知の上、実績も後からついてくるだろう、と優勝経験がないのに見切り発車的に横綱昇進。
しかし師匠の奥さんを蹴飛ばして廃業。蹴飛ばした理由が「ちゃんこが不味い」つーんだからトラブルメーカーとしての力量がうかがい知れる。


とはいえ、この北尾廃業問題は当時報じられたほど単純な問題でもないようだ。
どうも当時の師匠だった先代の立浪親方もなかなかブラックな行動をする人だったようだ。金銭がらみの問題やらいろんな表に出せない不祥事やら、その辺も絡んだ複雑な問題で、なにがなんやら分からなくて、結局のところブラックボックス化したタブーになってしまったらしい。


現在の北尾は相撲協会には所属していないものの、立浪部屋のアドバイザーという微妙な立場にいる。今回の朝青龍騒動をどう思ってるのか、なぜ誰もアドバイスを求めないのか?なぜ誰も朝青龍双羽黒を比較しないのか?
この辺にも相撲協会と、なんだかんだ言って癒着している相撲マスコミとの問題が浮き彫りになってると思う。