第23回駿府寄席

久々に生で落語を見た。
他のパフォーミングアートと違って落語に限っては、現代の生よりも過去の名人の録音録画の方が好きだったりする。だから落語会みたいなものにはあまり行かない。
ただ、最近の俺は死にそうなほど忙しくて、落語を楽しみたいというよりも俺には出来ないような気楽に面白おかしく暮らしてる人の顔を見て力を抜きたい、そんな気持ちで出かけて行った。


第23回駿府寄席、瀧川鯉昇一門会。あざれあ大ホールは8割の入り。


瀧川鯉八「牛ほめ」
調べてみたら前座4年目との。道理で前座にしては安定感があるはずだ。


瀧川鯉斗「天災」
元暴走族とかで勢いはあるものの、滑舌が悪くてピンと来ない。


瀧川鯉昇「千早振る」
静岡ではお馴染み。出て来て、声を出す前に愛嬌だけで笑いが2回。まったく格が違う。
落語家というものがいかに気楽な商売か、というマクラが延々続く。
まったく、今日の俺はそういう話を聞きに来たんだよ。もちろん、落語家が気楽なだけの商売じゃないことは承知のこと。特にこの人の師匠は奇人変人で有名な8代目小柳枝。要らん苦労をしてるだろうし、だからこそ弟子にはのびのびやらせてるんじゃないだろうか。
やがて静岡出身の落語家は仲がいいという話。今日はこんな感じで漫談や小話で終わって、真打襲名披露の傳枝を引き立てるのかと思いきや、「千早振る」に入っていく。これが「立田川」を朝青龍に見立てて、モンゴルに帰って豆腐屋をやってたり、という内容。
完全に師匠がトリの弟子を食った。この意味をトリの春風亭傳枝には考えて欲しい。


鯉之助改メ春風亭傳枝真打襲名披露
瀧川鯉斗、瀧川鯉昇、春風亭傳枝の3人。
傳枝が黒紋付を忘れた、とのこと。それが笑いのネタだけじゃなくて心配のネタに感じさせちゃうところが怖い。


春風亭傳枝「湯屋番」
やっぱり休憩と口上を挟んでも、場内に残る鯉昇のインパクトは薄らがない。そこに気の利いたマクラをふろうと空回りしてるのが感じられた。
いざ噺に入っていくと、きちんと作り上げられているのが分かって、本人もどこか安心して話してる風で、段々安心して世界に入り込めていけるんだけど。