静岡市美術館「ポーラ美術館コレクション展−印象派とエコール・ド・パリ」

正直なところ静岡市美術館が出来ることを知ったとき、「まーた要らねえものを作りやがった」と思ったけど、撤回しておく。
駅前にこんな贅沢な公共空間があって、しかも敷居の高さからか下衆が近寄らないから実に落ち着く。


正式オープンして最初の企画展が「ポーラ美術館コレクション展−印象派とエコール・ド・パリ」 。
ポーラ化粧品といえば静岡発の全国区企業、ポーラ美術館といえば主要な画家をひと通り揃えてる。オープニング企画としては無難な企画といえば無難だけど、面白みには欠けるなー、と思ってた。


俺の西洋絵画の知識は主に「蒼き炎」に依存してる。これ、絶版で後半はプレミア付いてるんだよね。

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金持ちお上品のお坊ちゃまと貧乏お下品のスケベ野郎の好対照な幼なじみ日本人青年2人が西洋絵画を志しパリに吸い寄せられていく中で、著名な画家とも交友を深めていく。
まあ、アル・カポネに助けられたりヒトラーと女を取り合ったり、虚実入り乱れてて、どこまでが史実なんだか怪しかったりするからあまりあてにはならないんだけど。
ただ、「蒼き炎」に描かれていたパリの雰囲気は事実なんだろう。


絵に残る筆の跡を見てると、マンガの登場人物が筆を動かしてる姿が見えるような気がした。


作品で印象に残ったのは3点。
ルノワールの裸婦。等身大で今にも抱けそうって感じ。でも輪郭線が霧のように柔らかくて、抱いたら消えちゃいそうで怖い。
オディロン・ルドンのアポロンの二輪馬車。世界に光をもたらす神・アポロンが天空を駆ける姿は神々しく、なにより見ているだけで神の祝福のおこぼれをもらえるような気分になる。
このコレクションを集めたポーラ化粧品の鈴木常司が大事な決断の際にこの絵を見たそうで、同じことを感じてたんだろう。
そしてレオナール・フジタの猫を抱く少女。嫌がってる猫の顔がいい。よく見ると爪を立ててるようにも見える。