飯田線(3)秘境駅小和田

なんにもないなんにもない…飯田線秘境駅の旅いかが
http://www.asahi.com/national/update/0815/NGY200908150007.html

先月の朝日新聞にはこんな記事が載るくらいだ。
もともと小和田には大きい集落があったらしいことが佐久間レールパークに展示してある三信鉄道の案内図からもよく分かる。

この図にある天龍山室、白神は現在は佐久間ダムに沈んでいて、飯田線は新線に付け替えられている。小和田も集落の大半はダムの下。集落の高いところにあった駅と線路だけが取り残された。
すっかり秘境駅で有名になって、中部天竜の駅は小和田に向かう電車を待つ人であふれていた。

こんなに人が来て、なにが秘境だよ。
と小和田に着くまでは思っていたのだが。小和田で降りたのは10人ほどだった。

小和田雅子さんが皇太子と結婚したころに、同じ名前だからってここで結婚式を挙げたスイーツの写真が今でも埃まみれに晒されてる。確かにそんなニュースもあったっけ。

駅から降りて右に行くと佐久間ダムにせき止められた天竜川がのどかに流れる・・・んだろう、普段は。このときはずーっと作業船のエンジン音が響いてたけど。
手をつないで歩いてるカップルがいたりして、確かにいい雰囲気のところではある。


その先に高瀬橋という橋がある。昔は隣の中井侍までつながる道だったらしい。このあたりは大きなトカゲがうようよしてるのでビビるけど、当時は人通りも多くてトカゲもそんなに寄り付かなかったのかもしれない。
今はこんな感じ。

いい崩れ具合だ。しばし崩落の美を堪能する。


いったん駅まで戻る。誰もいない・・・?
みんな、どこに行った?駅から左方向には神社がある。そこに行ったのか?
神社への道も決していい道とはいえない。
祠だけの神社まで付いても、誰もいない。神社の先にもピンクのテープが付いているので進んでみる。

普通の道じゃない。ましてカップルの女の子が来るようなところでもない。
普段の手ぶらやリュックの俺なら全然平気の範疇だけど、なにせ今日はオタクと一緒にされたくないと思ってリュックじゃなくてトートバッグで来てる。さすがに両手が使えないと先に進めない。2回コケたところでギブアップ。



また駅まで戻ったけど、やっぱり誰もいない。つーか本当にどこに消えたんだ?



道はもうひとつ、門屋集落へ行く道があるので行ってみる。案内板の指し示す方向には道はないけど、トンネルの横から右に入れる。
すぐにクモの巣をなんども被る。今日は誰も通ってないことが確定。俺以外の10人は本当にどこに消えたんだ?
一抹の不安を感じながら先へ進む。
突如として芸術作品登場。

声を失った。いやはや、これは人間と自然と時間がそれぞれの力を発揮した傑作だ。
あたかも天罰を下されたかのように放置され続ける廃車。
http://ja0hxv.calico.jp/pai/iidasen/kadotani.html
によると2006年までは無傷だったようだ。


この先、土石流の上を歩いたり、普段の手ぶらやリュックならなんでもないけど、トートバッグで片手が使えないと怖いようなところをいくつかクリアして

この橋のところでギブアップ。つーかタイムアップ。橋自体は斜めだけど、全然大丈夫な橋。

で、駅まで戻ってきて、時刻表を改めて見て気づいた。

俺以外の衆は13:09で来て、13:35で引き返したのね。道理で誰もいないはずだ。てっきり地底国人に引きずり込まれたかと思ったよ。