アメリカン・ギャングスター

静岡ピカデリー1で19:00の回。客入りは60人ほど。

音響がいいとは言えない劇場だったけど、音が妙にリアルで、短時間だったけど銃撃戦の充実度は近年まれに見る出来。



ベトナム戦争の時代。ニューヨークでイタリアマフィアを差し置いてハーレムの黒人ギャングが台頭する。軍人を抱きこんでベトナム戦争の戦闘機を使って麻薬を直輸入。

取り締まるべき警察も腐敗しきって癒着している。そこに現れたのが「正義」を貫いて家庭崩壊した刑事。



腐敗した警察組織、成り上がったギャング、「正義」の刑事、それぞれで映画1本作れそうな贅沢な三本柱でストーリーが進行するんだけど、後になるに連れて「警察組織」が「ギャング」に付随するものに成り下がって、最後は「ギャング」と「刑事」の2本柱で終わってしまう。

これが前半の間延び感や後半の警察エピソードのやっつけ感につながってるのでは?

そこが実にもったいない感じ。



「based on true story」特有の重さは存分に発揮されてた。控えめに徹する演出が地味な印象と好感を与えている。

また、安請け合いをするかのように形式的な正義を求めていた刑事が、大義のために開き直って命をかけるように変化していく姿もいい。ガメてもいいゼニを届けたのは法の手続き的にそうせざるをえないからする行動。ギャングに立ち向かったのは麻薬の悲劇を防ぐための行動。

だからこそ最後に、今あのゼニをもう一回見つけたらどうするか、という問いが重く響いた。ガメる以外に悪人に渡らない方法がないゼニを。





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