静岡地裁にいるうちに長谷川憲一裁判長を見とけ

俺の金のかからない趣味の一つに裁判傍聴というのがあって、静岡地裁には時々足を運んでたんだけど、なにせ平日日中限定。職業訓練に通っている間は行けなかった。


今日、久々に静岡地裁に行ったら、大分変わってた。
まず刑事部が2部だったものが3部になってた。これにともなって、火曜・木曜だった公判日が奇数週の月曜日を除く毎日行われるようだ。ただし、午前・午後と通して行われていたものが、どちらか片方だけになっているようで、今日は午後のみの開廷。


2号法廷では、公然わいせつ・強制わいせつ・銃刀法違反事件の判決と、覚醒剤の審理。
3号法廷では、強姦致傷・強姦未遂・住居侵入・銃刀法違反事件の判決と、強姦事件の審理。
ロビーで法科大学院生がたまってた。うざい。メイン法廷である3号法廷の見学だろうと思って2号法廷に行ったら、あとからこいつらがぞろぞろ入ってきて、傍聴席は満席。
こんなことだったら3号法廷に行くべきだった。3号法廷は強姦致傷と強姦未遂だから、確実に2件以上の犯行。


しかし2号法廷も印象的な事件だった。
平成20年(わ)第621号等 
連れて来られた被告人は30台半ばくらいか。坊主頭のずんぐりむっくり。顔つきといい、裁判長に呼ばれたときの返事といい、例によって(というほど多い)知能に問題がありそうなパターン。
判決は懲役1年10ヶ月の実刑。重いけど、きっと再犯だろう、と予測。
判決理由で事件の内容を聞いて、思わず苦笑。


要するに、チンポむき出しで女の子を押し倒して、ひざの裏を触った、という容疑。
で、弁護側が、ひざの裏を触るのはわいせつ行為ではない、と主張。いやはや。
判決。被告人はひざの裏に異常な執着心があり、ひざの裏を触るのはわいせつ行為である。いやはや。
実刑の理由。過去に、女の子のひざの裏を舐めるという前科があるから。いやはや。


被害者には悪いけど、脱力以外のなにものでもない。もちろん被害者にとっては恐怖だっただろう。でももっと恐ろしいことがある。
刑務所に入れたってどうにもならんってこと。で、出所して、またやるよ。日本の刑務所は更正施設じゃないから。単なる短期隔離施設。特にこの場合、被告人は知能に問題がありそうだけど、それを考慮した扱いはなかったようだし、それを刑務所に入れてどうなるってんだ?
世論として厳罰を望んで嗜虐趣味を満たして喜んでるうちに、なんのために罰するのかを見失った刑事政策により、根本的になんの問題解決もしないまま日常が作られていくわけだよ。これほど恐ろしいことがあるかい?


で、その後の3号法廷での強姦事件の審理もまたすごかった。
平成20年(わ)第680号
継続審理で、前回は強姦の被害者が出てきて証言したようだ。今日は被告人質問。
被告人は40台半ばくらいだろうか。
撮影禁止なので絵を描いてみた。画伯登場とか言うな。我ながらよく書けていると思ってるんだから。


静岡駅南で「軽くドライブ行きませんか?」「短い時間でしたら」とナンパ。車に乗せて日本平へ。
車から降りて夜景を見て、寒いから戻りましょうか、的に軽く抱いたら嫌がる風でもない。車内に戻って「キスをしてもいいですか?」「短い時間でしたら」キスから胸を触って、服を脱がせる時には腰を上げて協力してくれた、性器をいじりあって、献身的にこすってくれるので勃起、体調が悪かったけど「入るかどうか分からないけどがんばってみる」と挿入。お腹の上に射精。ワンピースは彼女のほうがめくりあげてくれた。
体調が悪かったので時間がかかった。そのあとに彼女に友達との待ち合わせがあって、時間を気にしていた。
待ち合わせ場所のセブンイレブンまで送ったけど、友達がいなくて、彼女が急に怒り始めた。フロントガラスを叩き始めたので割れると思って逃げた。


大体そんな弁護人の被告人質問。被告人は終始、どもってた。声も小さく、気も小さく、優しい感じ。
今風に言うと「草食系男子」っつーの?被害者の年齢は最後まで分からなかったけど、ついていく女がいるのは分かるような気がする。


これが検察官による被告人質問に移ったあたりからおかしくなる。
確かにこういう事件で、車に積んでいた持ち物とか、家にあったアダルトビデオとかさ、そういうので裁判官の心象を悪くしようというテクニックを検察官がよく使うのは俺も卑怯だと思う。ただ、このあたりから答えが「それが本件と何の関係があるのですか?」の一点張り。
そのうち、質問されてもまったく答えない。それが答えないという意思なのかどうかも分からない。
なんかふらふらして、なにか言いかけても意味不明。


ここで審理が一時ストップ。被告人の体調が悪いようで継続できるか聞いたところ、「睡眠薬が合わなくて」
弁護人からも「接見してもいつもこんな感じ」「出力の弱い電池みたいなもの」という暴言が飛び出す。
裁判官と弁護人で一生懸命、反対尋問の意味を説明して、続行。


聞いてるうちに思ったんだけど、自己愛の激しいメンヘルだろ、こいつ。
都合のいいところだけは何回も持ち出して繰り返す。都合の悪いところは別の話を持ち出す。なにが都合が悪いかの計算はそれなりに速い。
「今まで何人ぐらいそうやって車に乗せたの?」という検察官の質問に「1人か、そんくらいじゃないかなー」と超適当な答えとか。


体調が悪いから立たなかった、献身的にこすってくれた、そのときに性交の意思を持った、そう繰り返す被告人に長谷川憲一裁判長お得意のぶっちゃけトーク炸裂。
「体調悪かったら帰って寝てればいいじゃん?そうすればこんなことにならなかったんじゃないの?」
ちなみにこの人、wikipediaにも名前が載る、それなりに言動の知られたヒト。
映画「それでもボクはやってない」の判決を出した裁判官のモデルだろうね。

痴漢冤罪が疑われる事件で、被害者女性を証人として呼んだことが否認し反省をしていないこと認定し悪質と判断。また判決言渡し後、家族や傍聴人からの抗議の声に、笑みを浮かべて、「じゃあ、控訴すればいいじゃない」と軽口をたたきながら退廷した
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E6%86%B2%E4%B8%80

一度静岡にいるうちに見ておくべきだよ。


この裁判、被害者のほうも訴える気満々の、いろいろありそうなケース。追いかけたいところだけど、被害者が多治見にいて、次回出廷予定とのことで、日程は追って決める、とのこと。関係者には連絡が行くけど、俺には知る術がないもんなー。



追記2009/9/15
この強姦事件、無罪判決が出た。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090914/1252939533