防犯カメラに防犯効果はないのか?

ちょっと前の記事になるけど

高齢者の万引「動機は孤独」 4人に1人、警視庁調査
http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009080101000678.html

俺は万引犯なんて存在しなくて、あんなのは窃盗犯だと、泥棒だと、盗っ人だと思ってるんだけどね。
ちなみに盗っ人の語源ってのは「ヌーっと入って、スッと盗って、トッとと逃げる」の頭文字を取ったものだ、と柳家小さんが言ってた。まさに「万引」じゃん。
今までこの「万引」と呼ばれる店頭での小規模な商品窃盗について、まとまった調査研究というものがあまりなされてこなかった。だから今回の調査とこれからの分析にはおおいに注目をしている。

 心理的な要因(複数回答)では、高齢者は「孤独」24%、「生きがいがない」8%、「むしゃくしゃした」7%の割合が高く、少年は「ゲーム感覚」27%、「単に欲しかった」23%の順だった。
 高齢者の64%は収入がなく、19%は生活保護を受けていた。

これはあくまで心理的要因の話で、犯罪全体の高齢者の直接の犯行動機は平成20年の犯罪白書によると66%が生活困窮。
「動機は孤独」って見出しをつけたかっただけなんだろうけど、動機と要因とは違うでしょ。これに一般の高齢者の感じてる孤独感も比較調査しないと。


高齢者犯罪の急激な増加はこの数年、急にクローズアップされてきた問題。平成20年の犯罪白書でも第2部で特集を組んでたし、この先しばらくは警察にとってのトレンドなんだろう。
良かったね、警察は飯の種が見つかって。治安が良くなったら困るもんね。こういうのも統計の見方ひとつで、老人の人口が増えてるんだから高齢者犯罪は増えて当たり前・・・ってわけじゃない。
平成20年の犯罪白書の29ページを見てもらうと一目瞭然で
http://www.moj.go.jp/HOUSO/2008/hk1_2.pdf
pdfファイルだから見れない環境の人もいるだろうから簡単に数字を書く。
一般刑法犯検挙人員の世代別人口比の推移。平成10年と平成19年を比較して、20代は3割ちょいしか増えてないのに、70代以上は3倍以上になってる。60代後半だと2.3倍。60代前半だと2倍弱。数だけじゃなくて率も激増してる。


そして今回の調査で浮き彫りになってきたのが、高齢者窃盗の動機だ、原因は孤独だ、だから店員の声掛けなどのコミュニケーションが効果がある、高齢者をみんなで支える地域社会の組織化が必要だね、その中心には優しいおまわりさんがいて・・・という方向性への誘導だと思うのはうがちすぎだろうか。


あと、防犯カメラの犯罪抑止率が2%しかないことになってるんだけど、とても信じられない数字だ。
もっとも防犯カメラより声掛けが効果的、ってだけなら調査結果はずいぶんあって
http://www.pref.yamagata.jp/ou/keisatsu/800051/syonenhodo-nogaikyo/houkokusyo.pdf
これの31ページとか、一般の少年の場合だと保安員の巡回62%に対し、防犯カメラは50%ない数字になってる。
だから店舗側の防犯対策も、まず第一にお客様に挨拶しましょう、声掛けしましょう、ってのがセオリーになってる。

 万引を断念する理由では「防犯カメラの設置」が全体平均で2%と極めて低いのに対し、「店員の声掛け」は同62%と高く、対策を講じる際の参考となりそうだ。

声掛けに関しては別に目新しい話じゃないんだけど。でも防犯カメラ2%ってのは驚いた。
ほかの世代ではどうなんだろうね?ほかの世代でも似たような数字なら、防犯カメラを気にしないバカしか捕まらない、って立証されちゃうよ。


もっともほかの調査では捕まった少年の調査で、防犯カメラに抑止効果あり
http://www.pref.shiga.jp/police/seikatu/shonen/mannbikiproject/20mannbiki/syounenn111.pdf
ってのもあるんだけど、サンプルが少ないからなー。


ちなみに店側の調査では防犯カメラ導入して60%が効果あり、と。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2004/07/DATA/60e76101.pdf
となると、高齢者が防犯カメラをナメてる、ってことなんだろうか。確かに昔の防犯カメラはナメられても仕方のないものだったし。


いずれにしてもこれは貴重な調査だから結果を詳細に分析するそうだし続報待ちだけど、いまさら声掛けに効果があることが分かるようなレベルだったらお話にならない。