選挙情勢の世論調査について

なんか選挙情勢の電話世論調査について偏見を持ってる人が多いので、その実態を書いておきたい。

よくある偏見 1)電話帳に乗っている番号にランダムに電話をしている
よくある偏見 2)電話がつながった相手に聞いている
よくある偏見 3)日中にだけ電話をかけている
よくある偏見 4)質問項目で誘導をしている
よくある偏見 5)集計に不正がある




まず、誰が電話をかけているか、といえば、静岡の場合だと時給1000円程度の単発バイトとして求人誌に載っている、あるいは派遣会社で集める、大きく分けてこの二通り。

今年の俺の場合だと、登録している某大手派遣会社から回ってきたメールに答えた形。
求人メールには「コミュニケーション能力が必要です」という但し書きがあった。


実際に研修に行ってみると、電話オペレーター経験のあるおばちゃんが7割。なーんも考えてない女が2割、正体不明の男が1割といった構成。
研修の内容はマニュアルの説明が主。これが実は原則が分かるまでなかなか厄介。


よくある偏見 1)電話帳に乗っている番号にランダムに電話をしている



RDD方式は地域別に無作為で番号を作成していて、電話帳は関係がない。
この地域別というところが肝心で。
例えば選挙区に電話番号で判別できる人口が同じ地域が3つあった場合、10個の電話番号を自動作成したリストが3つ作られる。
この3つのリストを順繰りに電話しなければならない。
これで地域による偏りがなくなる。


よくある偏見 2)電話がつながった相手に聞いている



電話がつながった相手に聞くのは調査に協力してくれるかどうかと、その世帯の有権者の人数。
人数を聞いたら、調査員がその有権者の年齢順で上から何番目の人に調査をするか調査対象者を決める。これも順番がある。
有権者2人世帯の場合は上の人と下の人を交互に、3人の場合は1件目は最年長に2件目は2番めに。4人の場合は1件目は2番めの人に、などというルールがある。
これで世代による偏りがなくなる。


よくある偏見 3)日中にだけ電話をかけている

調査対象者が不在なら、夜9時半まで再電話をする。
これで働く世代にも調査することが出来るし、実際のところ調査の大半は午後6時以降。


よくある偏見 4)質問項目で誘導をしている

これは実際にある。
というよりも、選挙で何を重視するか、など選択肢が長文で10項目もあると電話の途中で嫌がられるので、どうしても最初の2つ3つの選択肢に答えが集中する。


よくある偏見 5)集計に不正がある

これは電話受けの現場じゃわからないけど、実際に受けた感覚と今回の結果も大きく乖離しているとは思わないけどね。
現場での不正は…多分ないと思う。
電話での回答と違うことを調査用紙に記入することは可能だけど、電話を受けてるのは本当に底辺で真面目なおばちゃんたち。
下手すりゃ小選挙区比例区の違いすらわからないような。(実際に研修でそういう質問が出た)

じゃあ実際に電話をかけてみてどうだったか、という話だけど。
公示初日は立候補者が確定してからの調査だから昼から。


午後5時まではまず電話に誰も出ない。出ても意識が定かじゃない老人ばかり。
さらに疑われる疑われないは別として、必ずオレオレ詐欺の話になる。
その老人に、世帯に有権者が何人いるのか聞いても、そもそも有権者の意味がわからない人多数。そりゃそうだ、80越えたら人間そんなもんだ。
この時間に家に老人がいる世帯は大体大家族で、世帯の有権者が5人とか6人とかが多いし、電話に出た人が調査対象者である確率は低い。
ただ、「4人のうち、一番若いのは誰ですか?」「私です。年は74」とかいうケースがあるので手強い。
ここで出てくる票のほとんどは「よく分からないけど自民党」である。
たまに若いお母さん世代も出るけど、「いま火をつけてる」「子どもが」でほぼ調査拒否。


午後6時を越えると帰宅ラッシュ。
午後にかけた老人を通じて話をしてあることもあってか、びっくりするほど票が取れる。調査拒否は少ない。
しかも意識がはっきりしている人が多いので話が早い。
この時間の特徴は、ほぼ全員が支持政党なし、ということ。
ただし9時を過ぎると反応が悪くなり、下手をすると怒られる。


調査は2日目もある。翌日の朝刊に載せる関係で午前のみ。
9時台に電話はよく繋がるけど、「いま出かけるところ」のオンパレード。
10時過ぎるととたんに電話に出なくなる。でも前日午後よりは反応が良い。
職業を聞くと自営・農家。支持政党がはっきりしている。あと、語りたがりが多く、「これ、絶対に新聞に載せてよ」とか
無茶言われたり。



という感じで、回答は結構バランスがとれてるんだ。