新古書

昼サイ屋日記経由でアマゾンを見て、ふーんと思った後にあっと思った。
「メッセージ: - 近所のブックオフ仕入れた新古書です 」
この本、新古本で出てるの?って。

いつの頃からだろう、新古書という言葉を見かけるようになったのは。

新古本」は俺がこの世界に入るとっくの昔からあった。念のために解説すると、出版社が新刊として書店に配本した本が返本されて来た場合に古本として古書店に流す本。赤本とかB本とかゾッキ本とか自由価格本とか特価本とも呼ばれる。
(本の天や地に赤線=ゾッキ線が引いてあったり、Bというハンコを押してあったりする)
その変形として古本屋で売ることを前提として作られるエロ本や、出版社が倒産間際に増刷して現金化したり、債権者が倒産在庫を古書業界に投げたり、印刷製本業者が著作権者に内緒で水増し製本して古本屋に流すパターンがあったりもする。
http://www.kanaishoten.jp/kiji/19940430.htm

この業界用語であった「新古本」という用語が表に出た時に、再販制度の分かりにくさとも相舞って正確な理解がなされなかったのであろう。それでも古本が古い本であった時代にはそれでもまだ良かった。
ところがブックオフのような古くない古本を扱う新しいタイプの古書店、つまり新・古書店が生まれたために混乱が始まった。恐らくは新・古書店→新古書・店→新古書を売る店、という誤解が進んだのだろう。

それならば新古本と新古書とは別の物と定義しても良いのだろうか?
答えは否、だ。
「古書」と「古本」の区別が気取っているか、ざっくばらんか、の違いしかない以上、新古書(新しい古書)と新古本(新しい流通の本)とを区別することは合理的ではない。既に「新古書」の意味で「新古本」と表記している例も見かける。
そしてこの2つには「客が触ったかどうか」という(人によっては)致命的な瑕疵があるかないかという大きな違いがある。
この混同を呼ぶ表記(特に後から出てきた「新古書」という表記)は避けるべきではないだろうかと思うが、少なくともこの2つの言葉が明らかに混同されている現状を踏まえて分かりやすく表記する必要があると思われる。
特にこれから著作権や再版制を考える必要が出てきた時に、この区別は必須だ。

http://www.hm.aitai.ne.jp/~gensen/subspS.htm
>全て新古書です。
>十人千一夜 箱 (愛知県西尾市で刊) 当時、この地方で活躍していた3000余人の紹介 定価400円 等山孝治 新報出版社 昭和33 1 2500