クワイエットルームにようこそ

静岡シネギャラリー右側で15:15の回。



今年の邦画はクソ揃いだと思ってきたけど、最後の最後に傑作が来たね。そして怖い、原作はあっさり読んだのでそう思わなかったんだけど。

介護保険制度前夜に取ったホームヘルパー3級の実習で瀬名病院の閉鎖病棟にいたことがあって、その2日間を思い出した。1日中ぐるぐる回ってるおばあちゃん、1日中息子を探してるおばあちゃん、勝手に体が動くから拘束してくれって訴えるおばあちゃん・・・。

患者の中にまともなおじいちゃんがいて、実はその人も壊れてたことに最後に気づかされた一言は一生忘れられない。

最後の最後に「あんた、チュウタイはどこだ?」って言われたもんね。チュウタイって分からなかったもん。留年はしてるけど中退せずに大学は卒業したし。まさか兵隊の所属(中隊)を聞かれてるとは思わなかった。

ミキがトイレで拒食を正当化した後の佐倉の息遣い、まさにそのものだった。

人間、どっか壊れてる・他人に理解出来ない部分って多かれ少なかれあるじゃん。

もっと壊れてる人は外の世界にいくらでもいる。佐倉より鉄ちゃんの方がタチの悪い壊れ方をしてるんじゃねーの?

薬の飲みすぎも酒の飲みすぎも止められないのは一緒、違うのは薬が俺の手元にないだけ。あったらどうなるか、分からない。

閉鎖病棟とこちらの世界の壁なんてのは、最初に出て来たコメディアンが破裂させた風船と一緒。ふとしたことで膨らんで壁は弾ける。

普段はメンヘラはうざいから頑張って死ねとか思ってるけど、そのメンヘラと自分との境目が分からなくなってきて不安にさせるほど心を動かす作品だった。ちょうど実習帰りのあの夕方のように呆然として帰った。