ノーカントリー

バナナマン日村がキモい」



静岡ミラノ1で19:15の回。客入りは13人。

ゴールデンウィーク最終日ということもあり、カップルの客が目に付いた。大方アカデミー賞に釣られて見に来たんだろうけど、まさかこんな残虐に人を殺したり、負傷して血べっとりなところを自分で手術する様子を克明に描写したりな映画だとは思わなかっただろ。ざまーミロ、と思ったら終わった後に

「結局あの人、死んだの?」

だの和気藹々と喋ってたりしてるの。



それはともかく、ここまで緊張して見た映画も久しぶり。

ある平凡な男が・・・つーんだけど、ベトナム戦争帰りで腹が据わってる、つーか結局命を危機にさらさないと生の実感を味わえなくなってしまったんだろう、こいつがたまたま麻薬取引のトラブルで大金が放置されているところに行き会って、持ち逃げする。

それを追いかけるのがマッシュルームカットの殺し屋。こいつがキモい。バナナマンの日村を大きくして目を据わらせてさらにキモくしたような感じ。

こいつが独自のキモいこだわりを炸裂させる。

とにかくこの男のキモさは必見。きんもーっ☆このキモさが最大の恐怖。



逃亡中に発信機を見つけた後の流れは、一手先を見せられる恐怖で場内身じろぎひとつない張り詰めた雰囲気。

ただ、人間2時間緊張しっぱなしになるわけにもいかないから、ダレ場つーか息の抜きどころを探してしまう、そしてダレ場として見つけたのが保安官のシーケンスだった。だから最後の視点の転換についていけなかった。

息を付いている間に終わっちゃった。完全に見方を間違えた。

この映画、保安官が主人公だったんだね。



でも完全にバナナマン日村に食われてたよ。その圧倒的な存在感と武力で世界を支配しているように見えて、実はもっと大きな力の前では無力。そんなアクシデントの描写には久々に映画館の座席で飛び上がってしまった。



この映画のタイトル「ノーカントリー」、原題は「No Country for Old Men」だそうだけど、その意味するところは、神のいたずらの下に、どんな力や経験を得ても人間には秩序や絶対の支配など作りえない、ってことなんじゃないかと思ったり。