築城せよ〜城か映画を作りたくなった

静岡ミラノ3で13:45の回。
前の回との合間に阿藤快、益田祐実子プロデューサーの舞台挨拶・・・の時点での客入りは50人ほどと寂しい入り。
なんで脇役の阿藤快が舞台挨拶に立つのか、といわれると、愉快!痛快!阿藤快という静岡の事情。
そういう名前のラジオ番組があったのよ、今年の3月まで。それ以外にも「静岡発 そこ知り」とかなんとかで静岡とは縁の深い方。

本当にいい気さくな、いい方で、wikipediaにも書かれてるくらい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E8%97%A4%E5%BF%AB
普通、芸能人の舞台挨拶なんかだと、やれ写真撮影禁止だのクソだのピリピリするところだけど、この日はみんな写メール撮りまくり。
人数少ないせいもあるんだだろうけど、ツーショットで写真まで撮らせてもらった。

俺は原田知世様に四半世紀以上惚れてるんだけど、俺にとっての阿藤快って、セーラー服と機関銃のダボ健。あの時に、うわ、このひと、強面で面白くてかっこいい、って思ったんだ。
こうなりたい、って目標の人の一人。だからなにも言えずに感動しちゃった。


という話は置いておいて。阿藤快、残念ながら脇役だし。
でもそれを差っぴいても、これはいい映画だと思ったよね。


もともと、このダンボールで城を作った、という話を、一般のニュースで聞いた覚えがあるんだわ、映画とは関係なく。
そのときはどっかの大学のイベントで作った、という話だったと記憶してるんだけど、今日の舞台挨拶での話によると、もともとこの映画があった、つーんだよね。


古波津陽監督が300万円で作ったオリジナルの短編映画があって、海外の映画祭で評判が良くて、資金を集めて長編で作ろう、と。そういう流れの中で、愛知工業大学の設立50周年イベントでなにかいい企画はないか、と探してるところにうまくマッチングしたのが益田祐実子プロデューサー、ということらしい。
ただ映画を作ることにゼニを出させる、つーことじゃなく、工業大学の持つモノづくりの特性をうまい具合に生かしてるのが感動的ですらある。

戦国時代に城を作ろうとして、果たせぬまま死んだ殿様が現代に乗り移って、町おこしの流れに乗って城を作らせる、でも予算もないからダンボールで、って話。
このダンボールで城を作る過程が、また高校の学園祭かなにか準備に命をかけるような甘酸っぱさがあってね。わくわく感の中で嗅ぐ濡れたダンボールのにおいとか、そこをもうちょっとちゃんと描いて欲しかったかなー。ただ「文化祭の前の日みたい」「戦さの前の晩のよう」といったセリフだけじゃなくてさ。


この映画、評論家や批評ブログじゃあまり評判が良くない部分があって、築城するまでダレ過ぎ、っつーんだけどさ。
確かに後半のダンボールでの城作りをドキュメンタリータッチで描いたら、それはそれで相当興味深いものになってたとは思うよ。でももともと作ってみるまで、どんなものになるか分からない城じゃん。
しかも評価の高いオリジナル短編があって、その低予算のオリジナルではおそらく城の完成度とは別の評価のされ方をしてるわけで。多分本作もオリジナルと同じ構成になってるんだろう。つーか、このオリジナル、見てえ!!!

想定以上の出来栄えの城が出来ちゃったからって、それを理由に引き倒されるいわれはないと思うんだよね。


そしてなによりも、そのダレと評される部分は、一つのプロジェクトしてのグルーブ感みたいなのを生み出していく過程として、この上ないリアリティを持ってるように感じられた。
最初はバラバラなんだよ、どんなプロジェクトでも。だから最後感動的なんでね。

この映画は3億の予算使ってるそうだけど、とてもそんな雰囲気の映画じゃない。
特に舞台挨拶で裏側が手に取るように見えちゃったこともあって、この映画がどうやって出来たのかが分かる、あるいはこの映画を一緒になって作ってるような感覚にすらなっちゃうのよ。
もちろん城だって一緒になって作ってる感じ。


だから、作られたものを見てケチをつけるしか脳のない奴には、あまりウケないのかもしれないような感じがしたかな。
つーか今、なんか、城か映画を作りたくてしょうがないんだけど。