カムイ外伝・松山ケンイチ舞台挨拶
静岡オリオン座で12:30の回。満席の舞台挨拶の回。
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090920/1253433871
こういうチケットを買って、裏にスタンプされた番号順に入場するもんだと思ってたら、当日早い者順に整理券を配ったらしい。
そんなことも知らずにのんびりと開場直後に到着、最後列に陣取った。
上映後の舞台挨拶の話。
崔洋一監督の仕切りで、松山ケンイチとの掛け合いと質疑応答が4人。
舞台挨拶30ヶ所めとの。今まではシネコンでの舞台挨拶が多くて、こういう大きな「劇場」は特別な印象があったようだ。
つーかシネコンじゃ「舞台」挨拶は出来ないだろっつーの。あれもおかしな表現だよな。
松山ケンイチ、口下手って言われてるけど決してそんなことないと思う。確かに「えとー、えとー」って言葉でつなぐ傾向はあるけどさ、質疑応答だってパターンのように聞かれる事は自然に、そうでなければなんとかパターンに近い形にあてはめようと工夫して、きちんとユーモア交えてこなしてたし。ふんどしについて質問した女性に、引き締まるのでふんどしをしてみてください、とか。
そしてやっぱりこの東北特有のイントネーションと発音で訥々と語られると、なんかリラックスするし、場内も心なしかホンワカした雰囲気だった。
崔洋一監督からは続編があるようなことを匂わせる発言があった。最後列だったから声も届かないだろうしなにも言わなかったけど、声が届く距離だったら「外伝じゃなくて本編を映画化して」ってリクエストしたかったな。
映画としてはアクションがダメダメ。
忍者の動きってもっとシュッ、サッ、パッ、って感じだと思うんだけど、映画だとワイヤーアクション特有のビヨーン、グニューン、ドローン、って感じ。すっげー間が抜けてる。小雪もアクションはスタントでやってほしかったなー。
松山ケンイチはコスプレ役者としては天下随一だと思うし、この作品に限って言えばカムイも難なくこなしてた。ただこれがたとえば本編を映画化したときに、カムイの持つ中性的な雰囲気まで出せるかというと無理だと思う。
つーか、松山ケンイチってあまり男くさい印象じゃないけど、原作のカムイと比較しちゃうとやっぱり生身の男なんだなー、と思った。
カムイ外伝 (1) (小学館文庫) | |
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カムイ伝は江戸時代の身分差別の上に成り立つ物語。これを差別対象である在日朝鮮人の崔洋一監督が描いたところに意味があると思う。差別というものが当たり前のようにあって、前提になっていて、だからこそこの映画の前提をごく自然に描いていた。
これは白戸三平が原作で、なにかにつけ身分制度を持ち出して関連付けていたのとは大きな違いだと思う。
だからこそ、原作のカムイ伝が持つ左翼的なメッセージ性とは違う、生き抜け、というシンプルなメッセージが浮かび上がってくる。
最後は結局、殺したいから殺しちゃう、という点でカムイも殿様も一緒。それが人間であり、人間として生き抜くということ、そこに貴賎はないし、そして終わりもない。
この映画はハッピーエンドではない。もちろんハッピーではないし、そもそもエンドでもない。