パレード

静岡シネギャラリーで14:40の回。4週公開の最後の2日なのに客入りは40人ほどと大入り。
ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したり、シネギャラリーで4週興行をしたりで前評判の割に、悪い評判も多く聞くような感じで、気になる作品ではあったけどようやく最後の最後に見ることが出来た。


これは今年5本の指に入る佳作。
つーか、これを普通の人の見たままのコミュニケーションとして考えると無理がある部分もある。
接点のない男女4(藤原竜也 香里奈 貫地谷しほり 小出恵介)人がルームシェアして、それぞれ闇の部分があって、不干渉。そこに謎の男娼(林遣都)が紛れ込んでも、なんとなく受け入れてしまう。


予告編に出てくる「ここって、インターネットで言えばチャットや掲示板みたいなもんだから」で一旦否定されてるように見えるけど、実はこの空間こそインターネットのチャットや掲示板なんだよ。
インターネット上の出来事をリアル社会に置き換えてるだけなんだ。だからこの映画の中にはパソコンが出てこないし、携帯電話も通話をするだけで携帯メールや携帯サイトが出て来ない。ついでにいうと、エロビデオはパソコンでは再生出来ないテープに保存されてる。
この映画に描かれているのはネットのコミュニケーションだ。そう考えると不自然だと指摘されてる場面の全てが腑に落ちる。


構成が実にうまい。
謎のルームシェアをする4人、連続通り魔、女子高生売春組織、紛れ込んだ男娼。興味を引き続ける謎を提供しながら、結局はなにも起こらない。そう、なにも起こってないんだ。
だから怖い。
居心地のいい空間に居続けるために、異常さへの同化を求められる恐ろしさ。管理しているはずの自分が一番社会的に異常であるにも関わらず、だ。


俺は、ネットのコミュニケーションを映像化したらどうなるだろう?って思い続けている。
2ちょんねるでよく見る「2get ズザー」なんて滑り込んでくるバカとか、マヌケ面ぶら下げて空気も読まずに暗唱を続けるコピペバカとか、ネットで見過ごされがちな異常さを浮き彫りに出来るんじゃないかと。
それに手をつけたのがこの映画だと思う。


ネットのなれ合い、キモイよ。
実は最近、俺もtwitterでこのキモさを痛感してるんだ。なんだ、この仮面かぶったコミュニケーションは?
だからといって1回や2回しか会ったことがないとはいえリアルに顔知ってる衆に「バッカじゃねーの?」とは言いにくいしさー。この心地いい空間の中で、必死に適度な居心地の悪さを模索してる俺がいる。