1408号室

静岡ミラノ1で21:45の霊とショー、ではなくてレイトショー。この手のホラーにしては客入りが案外良くて20人ほど。このうち1人を除いた全員が客電付くまで残ってたのが印象的だった。
俺もそうだけどあのラストにゾクっと来て、考えちゃったんだろう。



神も霊も信じない心霊ライターが取材で禁断の部屋に宿泊。
1時間もたない、と言われた部屋でカウントダウンの始まる中、取材用レコーダーを握り締め必死に分析しながら超常現象との戦いが始まる。しかしあっという間にギブアップ。もちろんそのときには既に逃げられない。
部屋の邪悪さが心霊ライターのトラウマを巻き込み、恐怖の夜は過ぎていく。

「幽霊は出るまでが怖い」怪談噺のマクラで聞いた覚えがある。まず、この部屋でなにが起きてきたかの説明が怖い。「スープで溺死」ってどういうこと?自殺事故死より自然死が多いってのも、死んだ状況が想像できないから怖い。
この辺はホラーを見慣れていればいるほど、あるいは想像力があればあるほど、余計な恐怖が湧き出てくる。
また、説明してる支配人もいいキャラしてるもん。

部屋に入るまで散々引っ張っておいて、ハードルを高くして、そのハードルを楽々クリアするどころか、ハードルの上に乗ってそこからジャンプするような感じで本編が進む。
目新しい怖がらせがあるわけではない。どんでん返しもミエミエだったし、ありがち演出のオンパレードだったのは否めない。
しかしホラー映画の恐怖の要素全てがいいバランスで盛り込まれているから、理屈以上の恐怖を感じた。
ラジオから流れるオールドミュージックとか、定番だけど、怖い。窓が落ちるとか、脱出出来るはずの窓がないとか、脱出しようとした部屋にトラウマが待ってるとか、ありがちなんだけど、怖い。冷蔵庫の中にちっちゃい支配人がいるとか、ネタバレどんどんしちゃうけど、そんな瑣末なことでこの映画の魅力は損なわれない。
だってそんな小手先の怖さだけじゃないもん。
うまく伏線が引いてあって、クライマックスでは爽快感すら覚えた。

ここまで書いてきた心霊ライターのトラウマってのは要するに娘を難病で死なせちゃった、ってことなんだけど、またこの娘が怖かわいいのよ。もちろん恐怖の中で出てくる。ありがちだろ?だけど、そうそうないんだな、この怖さは。
やっぱ、スティーブン・キングはすごいわ。結局、心理劇だからな、これ。