ノン子36歳(家事手伝い)〜全員クズで見てらんね

函館シネマアイリスで15:10の回。客入りは7人。


映画芸術」2008年のランキングで第1位になった作品で、気にはなってたんだけど静岡じゃ公開しなかった。
単館系の中でも小規模公開だし、かつ内容的にこういうオシャレじゃないものはシネギャラリーじゃやらないしな。
熊切和嘉監督のインタビューなんかを読むと、にっかつロマンポルノ的な湿っぽい生活感のあるエロをやりたかったらしい。

30代後半の女ニートと20代前半の男ニート。ひたすら甘くて自堕落な生活が描かれていくわけだけどさ、それが同世代で比較すると人一倍そういう要素を持ってる俺自身からするといろんな意味で痛くて。もうちょっと見てらんね。
ニート水野真紀に絡んでくる男もまたどうしようもなくダメでね。この3人のダメエキスを抽出して上手く配合すると俺になるよ。あー、嫌だ嫌だ。
でも社会的にはまとな社会人ではあるんだけど、水野真紀の家族な、これも十分クズだよ。結局見て見ぬ振りで逃げる父親と迎合してる母親、妹もワガママで。


そのクズを使ってこの映画がなにをしたかったのかというと、多分映画表現そのものをしたかったのかなー?って気がした。
映画芸術」でこれを上位に持ってきたのは本当によく理解出来る。一つ一つの場面の描写、なんでもないように見える光の当て方とかカット割とか効果音とかさ、演出上の細かく、ベタとでも言ってもいいような意味が込められてたりして。


熊切和嘉監督って初めて聞く名前、上手さは印象的だった。この人の監督で函館を舞台にした小説「海炭市叙景」が映画化されるとの告知が張り出されていたから、ワクワクしながら待っていよう。
でもこの映画に関して言えば、鬱屈さ加減と暴発、それを引き立てるひよこ、そして続く日常、すげー嫌な後味の悪さといった気持ちだけが残ってしまった。