視野狭窄の窄の字について

ネットで必死になってるクソオタクが「視野狭窄」と罵倒されてるのを何回か見たことがある。
窄つーのは普通あまり使われる字じゃないけど、搾取の搾とかからの連想で、ギュッとなったような感じ意味なんだろうな、というのはある程度の想像がつくと思う。


ところで、今週の頭、東京から帰ってきたころから左目の見え方がおかしくなってきた。
コンタクトレンズを入れてるときには全然問題がないんだけど、外してメガネにした時に矯正視力がほとんど出ない状態。多分0.1ぐらいにしかならない。
視力低下は不安だったけど、なにせコンタクトレンズではまったく変化がない。疲れ目かな、とか思って様子を見ていても一向にどうにもならない。


とりあえずインターネットのヤホオというサイトで調べてみたら、つーか調べるまでもないんだけど、急な視力低下はヤバイ事態になってることが結構ある。
まず真っ先に脳腫瘍を疑ったね。でも視神経が腫瘍で圧迫されてるんだったらコンタクトレンズでも視力が低下してるはず。他の症状もないしね。
次に緑内障。これは命には関わらないけど失明の恐れがある。自覚症状が出た時には末期という恐ろしい病。主たる自覚症状は視力低下と視野狭窄


で、視野狭窄ってなによ?
まぶたが腫れぼったくて上の方がよく見えないんだけど、これって視野狭窄か?つーか狭窄ってどういう意味?「狭」が左右で「窄」が上下とか、そういう意味?
そう思って「窄」をオンライン辞書でいろいろ調べたんだけど、オンライン辞書って意外と役に立たない。知らない言葉を調べるには役立つけど、知ってる言葉の細かい意味が分からない、ってことが分かった。
「窄」は「すば・る」「すぼ・る」と読み、狭くなる、という意味だということしか分からない。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/103818/m0u/%E7%AA%84/


結局、他の頭痛とか痛みとかの症状もないし、緑内障でもないだろう、と思って一安心して、いまむら眼科に行ったんだけどさ。
でも視力検査で、機械を覗き込んで気球が見えたらオシマイになる機械で、いつまでたっても気球が見えずに検眼士がアタフタしたりするとやっぱりビビるよ。コンタクトレンズ屋のパターンの患者じゃないから看護士が何回も事情を聞きに来たりとか、不安感をMAXにさせられた状態で先生の間に通された。


この眼科の先生つーのが年のころ30代後半の女性、元メガネ美人、今は多分独身でボーイズラブ好きなんじゃないのかな、性格は暗くて他人とのコミュニケーションは苦手そうだ。
つーかさ、説明するのはいいんだけど、低音小音量で専門用語を駆使した早口。
俺はちゃんと下調べをしてあるから角膜上皮とか言われても分かるし、なにせこの手のタイプの女性とは接点が多くて慣れてるからいいんだけど、100人いたら99人理解できないと思うよ。それでいてちゃんと説明してると本人は思ってるんだよなー。


で、要するにドライアイかなにかで角膜にコンタクトレンズが張り付いたかなにかで、傷ついて角膜混濁を起こしてる、と。その影響で上のまぶたの裏側が炎症を起こしてる、と。抗生物質と消炎剤を処方する、と。
コンタクト使用禁止と言われた記憶がないんだけど、こういうタイプは間違いなく言ってるし、こういうタイプに慣れてる俺ですら聞き落とすほど小さい声の早口だったんだろうな。


それはともかくとして、その後に映画を見たわけよ。剱岳
なかなかいい映画だったんだけど、一番盛り上がるはずのところがまったくなんの盛り上がりもなくて、

剱岳 点の記〜登山史上に残る尻つぼみ
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090620/1245507030

と書いたら

尻すぼみ 2009/06/21 08:21
『尻つぼみ』とはどういう意味じゃ。初めて聞いた言葉じゃが。

というツッコミをされた。


しまった、と思った。そうなんだよ、昨日調べたとおり、尻窄みの窄みは「すぼみ」なんだよ。
でも、「つぼみ」だろ?という気持ちがどうにも捨てられない。


旺文社の漢和辞典を調べてみた。
「窄」という漢字は「穴」と「乍」という漢字の合わさったもの。「乍」は「ながら」で、状態が継続するということ。といっても穴は永遠には続かないから、段々小さくなっていく、ということなんだろう。
大辞林を調べてみた。
「すぼむ」は狭くなるという意味、そして「つぼむ」はそれ以上の容量で掲載されていた。「壷」の動詞形とのこと。


もともと古くからの日本語として「つぼ」があって、その動詞形として「つぼむ」という言葉があったと考えるほうが自然だと思う。
そして大陸から漢字が伝わってきた時に同じ意味の言葉として「窄」が当てられ、「乍」に「サク」という音が与えられていて「サク」と読まれ、それとサ行とタ行の揺れから「つぼむ」が「すぼむ」になったんじゃないかな、と推測する。
地方だと古い発音が方言として残っていて、俺は「つぼむ」に接していて、コメントしてくれた人は都会育ちで「すぼむ」に接していたんじゃないか、と。
で、おそらくは都会風の「すぼむ」が標準語としては正解なんだろう。


花が咲く前の「つぼみ」、あれも漢和辞典を調べると面白いね。「蕾」と「莟」の違いなんて意識したことがなかった。もともと「つぼむ」と同義だと思う。
漢字は奥が深い。