HACHI 約束の犬〜感動の王道ど真ん中

静岡ミラノ1で12:55の回。客入りは70人ほどとなかなかの入り。

かの有名な忠犬ハチ公リチャード・ギア主演でハリウッド版で、って話だけ聞いたときにはどうなることやらと思ったけど、予告編で見て、これはどうしても見たい、と。

あのリチャード・ギアの「ハァチィ」を聞いて、こりゃどんなトンマな日米ギャップが描かれてることやら。


完全に油断してて、劇場入口で「HACHIの吹き替え版です」って言われたときには、しまった!と思った。でもチケット買うときに「HACHI」としか言ってない。
静活では吹替版のみの上映だった。


確かに最近時々あるんだ。ゆとり世代が字幕読めないからって吹替版だけ公開するってのが。でもなーやっぱり吹替版は、アクションとか動きが多いものはともなく、一枚落ちるぜ?別にストーリーを追いかけるために映画を見るんじゃないからさ。


なんか日本の寺で坊主が鐘を点いた直後に、本堂で犬を木の箱に入れて発送してみたり、軽自動車に乗せられて自動改札をくぐって渡米するんだけど、意味が分からない。荷物として発送したなら自動改札くぐらないだろ、誰かが連れて行ったのなら行方不明になったら分かるだろ、とか。
字幕版に期待した文化ギャップとは別の意味で吹替も変。
駅に着いたら飼い犬が待ってて、「Hey,HACHI!」ってのはまあアメリカだとそんな感じなのかな、と思うけど、これをそのまま訳して、北大路欣也の魅惑のテノールボイスで気取った風に、あるいはアメリカの通販番組の吹替みたいに、「やあ、ハチ」って、飼い犬にそんなよそよそしい日本人いねーよ、って日本人じゃないか。
これが飼い猫なら分かるんだ。あいつら、外で会うとよそよそしいからなー。「やあ、ミカリン、今日はそちらの家にお泊り?」とか言っても完全無視しやがるし。


とか言ってるうちにお馴染みの展開になってくるわけだ。
隣の席のオヤジが、なにも食ってないのにクッチャニッチャと口の音をさせててうざくて仕方がなかったんだけど、いつの間にか無音、そして鼻水すすり出してたまんねー。後ろでもおばちゃんがしゃくりあげてるし。

もうね、なんつーの、端々にはおかしいところがいくらあっても、この、ど真ん中の王道というものが持つ力はすごいね。
またこの犬がいいんだ。俺は犬が苦手なんだけど、それでも頭なでてやりたいぐらい。目がいいんだ。
生き物の目はいろんなものを訴えかけるね。
最後のころにはハチ公だかパトラッシュだか分からなくなっちゃうけどさ、日本で知られるハチ公物語と実話とをアメリカに無理なく移植した、普遍の感動作になったんじゃないだろうかと思う。


世界に先駆けて日本公開で、初日は静岡だけではなく全国的にも動員はいいみたいでなにより。
映画の最後には、80年前の日本の実話であることが映像とともにきちんと紹介されていたのも好感が持てる。出来れば、いまではハチ公像が待つことのシンボルになって、今も愛する人と待ち合わせる多くの人とともに待っている、なんて締め方をしてほしかったかな。
あとは世界がどう受け入れるのかの興味。


おまけ

これ作った奴、バカだろ。