24時間テレビのタレントが非難される理由、あるいはボランティアと労働者の線引きの件

大道芸ワールドカップin静岡のボランティアが絶望的に集まってなくて、ポイントが24あって延べ380人必要なのに28人しか応募がなくて、当日どうすんの?って状態だそうです。
不景気でそれどころじゃない、とか、国文祭に借り出されてるとか、いろんな事情があるとは思いますが、10月31日から11月3日までのうち2日間、時間と興味があるようでしたらお問い合わせください。
http://www.daidogei.com/staff/staff.php
以上、お願いなので丁寧語で書いてみました。


さて。
大道芸ワールドカップin静岡というイベントは大半がボランティアで運営されてる。ボランティアだから当然ゼニはもらえない。弁当は出るそうだけど。
ただ、原義のボランティアってのは志願とかそういう意味で、決して自動的に無償奉仕とイコールなわけじゃない。伝統的には無償・自発的・利他性がボランティアの定義だったそうだけど、そのうち無償の部分が崩れてきたのが有償ボランティアが出てきてからのこと。


有償ってのはボランティアなのか、って話をしだすと、じゃあ弁当支給されたらボランティアじゃないのか、って話になっちゃう。
有償ボランティアについては

「有償ボランティア」は労働者か?
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/special/pdf/077-088.pdf

にまとまってるので見てもらうにして。
有償ボランティアにも、報酬を受け取る、チップを受け取る、実費を受け取る、とさまざまある。その報酬にしても職業として成り立つレベルから、労働ではない証として最低賃金以下のレベルまで、いろいろだ。
今の介護労働者なんかは職業として成り立ちにくく悪い意味で有償ボランティアというべき存在だし、一方で医療崩壊の矢面に立たされてる医者も高待遇とはいえ有償ボランティアの概念に含めることは難しくない。


日本では阪神淡路大震災をきっかけにボランティアが注目されるようになって、1995年がボランティア元年なんて言われてるけど、慈悲による施行みたいのは古くからある。実際のところ無償の社会奉仕というのは民生委員などをはじめとして行政の制度として成り立ってるほど定着してる。
有償ボランティア自体も最近の話じゃなくて1980年代からあって、福祉の分野では定着している。介護労働者の待遇がなかなか改善されないのは財政的な事情だけではなくて、こういったボランティアの存在が介護労働者の利他性を過剰に期待させる雰囲気を醸成したことも大きいんじゃないかと思う。


だって有償ボランティアと労働者との線引きを考えてみてほしい。
上記のレポートでは外形的には使用従属性の高低、内面的には利他性の多寡にその線引きを求めてるけど、使用者側とすれば有償ボランティアは単なる安いバイトと変わらない。いわゆる「やりがい搾取」の状態。
なんでそうなっちゃったのか?


労働法の理念で言えば、正社員と非正規労働者との違いは労働時間の長短や契約期間の有無に過ぎない。バイトだから社員より無責任で当たり前、みたいな感じの非正規労働者は使用従属性が低い、なんてことはないはず。
ところが今の日本では雇用形態ヒエラルキーみたいなものが出来上がっていて、それを正当化する方便として使用従属性の高低を使用してしまっている。そのために有償ボランティアという存在の、外形的な基準があいまいになっているのではないだろうか?
かくして有償ボランティア=仕事(しかもその多くが非正規雇用以下)の図式が広まっていると推測する。

外国人も呆れる"エセチャリティ"『24時間テレビ』最大の過ちとは
http://news.livedoor.com/article/detail/4310725/

出演してるタレントがギャラをもらってることが批判されてる。24時間テレビのタレントが非難される理由はいくつか考えられる。
金持ちはもっと寄付しろ、と貧乏人が嫉妬むき出しで、より多い富の再分配を求めるのなら俺も同調する。海外喜捨じゃなくて記者の反応も論点はそこなのでは?
でもネットの言論はどうもそうじゃないようだ。ボランティア=無償奉仕という呪縛から逃れられてないのが大多数で、縛っている縄の切れっ端をぶん回しながら、マスコミへの敵愾心を理由に暴れているのが実情ではないだろうか。


それになー、そもそもタレントが仕事しちゃいけないのか?とも思うよ。
だって番組で生まれる収益はすべて寄付しろとか言ったら、それじゃあ24時間テレビの黄色いTシャツ作ってる業者もタダ働きしなきゃいけなくなってくるし、下手したら原料費も持ち出しで作れとかいう話になりかねない。アホらし過ぎてモノが言えない。
それにやめろって言ったって、24時間テレビのステッカー貼ったお風呂カーが済生会病院(関連の施設なのかどうかは知らんけど)から出てきて静岡市内を走り回ってるのは事実なんだし、文句つけてる奴らはお風呂カーの1台でも寄付してからモノ言えと言いたくもなる。